掘り出した金銀を運ぶための道。
江戸庶民が寺社参詣のために登った道。
——さまざまな道がいまも山中に眠っています。
山歩きのスペシャリストが足跡を探し出す
地質が脆く雨が多い日本列島では、使われなくなった道はすぐ薮に覆われ崩落し、通行に適さなくなります。
歴史、文化、景観などの地域資源を有したまま、山岳古道は自然の中に埋没しようとしています。
地域で語られる道、古文書にあった道、地図から消されてしまった道が数多くあります。
遠いむかし人々が利用していた道はどこにあったのか、偉人が通ったという伝説の道はどこにあったのか。
人を訪ね、山中を歩き、薮を払い、川を渡渉し、手足を使って古道の本来の姿を確かめています。
失われつつある価値を伝え継ぐ
古道は文化遺産です。
「日本の山岳古道120選」の公開により、新たな関心を呼び起こし、日本列島の魅力の再発見につながります。
古道の持つ歴史的・文化的な価値を明らかにすることで、日本の歴史や文化への理解がいっそう深まるだけではなく、新たな文化の掘り起こしが可能になります。
また古道を歩くという体験をとおして、歴史的空間を肌で感じることができ、その土地の深層に触れ、いにしえの人々の営みを豊かに想像することができます。
さらに、地域において郷土愛を育み、地域活性化、観光振興に寄与します。
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薮を刈り、石垣を積み直し、壊れた道を修復する。
こうした古道の維持のために、全国でボランティア活動を続けていただいている方々がいます。
わたしたちは古道の魅力を紹介し、多くの人に歩いていただきたいと考えています。
人が利用することで、古道は維持され地域の活性化にもつながります。
山岳古道を歩くことを山登りの新しい楽しみ方のひとつとして提案します。
歴史や文化に思いを馳せながら山道を辿る楽しさを、山を愛する人々に広げたいと考えています。