悲鳴を上げたままミイラ化してしまった女性。
彼女の生前の名前は知られていません。
ただ、その苦悶の表情から「叫ぶ女性ミイラ(The Screaming Woman mummy)」と呼ばれています。
これまでのところ、彼女がどうして口を大きく開けたままミイラ化されたのかはわかっていませんでした。
しかしエジプト・カイロ大学(Cairo University)らは今回、叫ぶ女性ミイラについて最も詳細な調査を実施。
その結果、彼女の叫びの表情は「死後痙攣」によって硬直してしまった可能性が高いと示されました。
研究の詳細は2024年8月2日付で科学雑誌『Frontiers in Medicine』に掲載されています。
※ 以下、女性のミイラの画像を掲載しています。苦手な方は閲覧にご注意ください。
目次
- なぜ悲鳴を上げたままミイラ化されたのか?
- 叫びの表情は「死後痙攣」が原因?
なぜ悲鳴を上げたままミイラ化されたのか?
この叫ぶ女性ミイラは記号的に「CIT8」と呼ばれており、1935年にエジプトの都市・ルクソール近郊で発見されました。
女性ミイラは、エジプト第18王朝に存在した王室建築家センムートの墓の下に埋葬されており、年代は紀元前1479〜1458年頃のものと考えられています。
発見以来、女性のミイラは多くの考古学者たちの注目を集め、さまざまな憶測を呼んできました。
叫びの表情を留めたままミイラ化されたケースがきわめて珍しかったからです。
古代エジプトの防腐処理者たちは遺体をミイラ化する際に、下あごと頭蓋骨をしっかり固定して口を閉じる処置をすることが普通でした。
口が開いたままのミイラもなくはないですが、この他に数体ほどしか知られていません。