一方、五輪のメダル数では中国より見劣りするが、「政治の世界」ではインド人の台頭が既に各国で見られる。直ぐに思い出すのは英国でアジア系初の首相になったリシ・スナク氏だ。アフリカから移住したインド系の両親(父親は医師、母親は薬剤師)のもと、イギリスで生まれた政治家だ。先の下院選で敗北し、首相の座を失ったばかりだ。
また、英国の元内相のプレティ・パテル氏は両親がウガンダ出身のインド系移民だ。アイルランドの元首相レオ・バラッカー氏は父親がインド・マハーラーシュトラ州出身。バラッカー氏はアイルランド史上初のインド系首相(在任2017~20年)だった。また、一時期トランプ氏と大統領候補を競った元米国連大使ニッキー・ヘイリーさんの両親はインドのパンジャーブ州出身、といった具合だ。
最近では米民主党大統領候補者のカマラ・ハリス副大統領の母親はインド出身の生物学者シャマラ・ゴーパランさんだ(父親はジャマイカ出身の経済学者ドナルド・ハリス氏)。2009年に亡くなったゴーパランさんは、インド南東部のタミル・ナードゥ州出身で、1958年から米国で学び、その後、癌研究者となった。彼女はバラモンの家系で、インドの四大主要カーストの中で最も高位のカーストに属していた。ハリス副大統領は自伝の中で「私たちの古典的なインドの名前は私たちの遺産を思い起こさせ、私たちはインド文化への強い意識と敬意を持って育てられた」と書いている。
それだけではない。トランプ前大統領の「ランニングメイト」であるJ.D.バンス上院議員の妻、ウシャ・チルクリ・バンスさんもインド出身だ。彼女はタミル・ナードゥ州の北に隣接するアンドラ・プラデーシュ州出身だ。バチカンニュースによると、最新の米国国勢調査によると、米国には約440万人の純粋にインド系の出自を持つ人々が住んでおり、2010年から2020年の間にその数は50%増えた。