そしてチームは「この脳メカニズムこそが進化上、祖先の生存率を高めるのに役立った可能性がある」と指摘します。
例えば、不確実性で不安感が増大する心境を安全ゲージが減っていくイメージとして捉えてみましょう。
電気ショックが10秒以内のどこかで来る場合、最初の1〜2秒が過ぎた段階では安全ゲージも多く残っているので、「まだ大丈夫だ」と思えるはずです。
しかし7秒、8秒と過ぎていくと安全ゲージは残り2〜3秒しかなくなり、電気ショックを受ける確率も高くなるため、「そろそろヤバいぞ」と知覚される脅威がどんどん膨れ上がって不安感が大きくなります。
これは狩猟採集をしていた時代の祖先にも当てはまったはずです。
例えば、サバンナで食料収集をする際には、人間よりも大型で凶暴なライオンやヒョウといった捕食者に出くわす危険性があります。
ただ彼らがいつどのタイミングで出てくるかはわかりません。
そのような不確実性の中で、いつまでものらりくらりと食料収集を続けていると、その分だけ天敵と出くわすリスクも高くなります。
そこで祖先の脳は時間が経過するごとに心の安全ゲージを減らして、「そろそろヤバいんじゃない?」「もう家に帰った方がいいんじゃない?」と不安感を煽ります。
しかしそうすることで天敵に遭遇するリスクを減らし、生存率を高められたのではないかと考えられるのです。
このようなメリットがあるゆえに、私たちの脳は恐怖の出来事がいつ来るかわからない「宙吊りの時間」が長く続くほど不安感を抱くようになっている可能性があります。
つまりこの「宙吊りの時間」をギリギリまで引き伸ばして上手く利用しているホラー作品が、めちゃ怖いと高い評価を受けやすい名作になるのかもしれません。
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参考文献
Scientists prove Alfred Hitchcock right, shedding light on a fundamental aspect of anxiety
https://www.psypost.org/scientists-prove-alfred-hitchcock-right-shedding-light-on-a-fundamental-aspect-of-anxiety/