みなさんはホラー映画を観ていて、どの瞬間に強い恐怖を感じるでしょうか?

例えば『13日の金曜日』シリーズで、殺人鬼のジェイソンが扉の陰からバッ!と飛び出してくる瞬間は確かに恐怖を覚えるシーンです。

しかし意外に一番怖いのは、ジェイソンがいつどこから飛び出してくるかわからない、あの「宙吊りの時間」ではないでしょうか。

米カリフォルニア大学デービス校(UC Davis)の最新研究は、この仮説を見事に証明するものでした。

チームの報告によると、人々は恐怖の出来事そのものよりも、いつ起こるか知れない恐怖の出来事を「今か今か」と予期している時間にこそ、最も強い不安感や恐怖を覚えることが示されたのです。

研究の詳細は2024年6月20日付で心理学雑誌『Computational Psychiatry』に掲載されています。

目次

  • 「いつ来るの?」が結局、一番コワイ
  • 不確実性に恐怖を抱く「進化上のメリット」とは?

「いつ来るの?」が結局、一番コワイ

研究チームは今回、恐怖を感じる出来事がいつ起こるかわからないという「不確実性」が、どのようにして人々の不安感を増大させるかを検証することにしました。

実験では被験者として42名の健康な成人男女に協力してもらっています。

実験において被験者は椅子に座らされ、予測できないタイミングで軽度の電気ショックを受ける可能性があります。

このとき、被験者は椅子に1秒座り続けるごとに1セントの現金報酬を得ることができますが、反対に電気ショックを回避するためにいつでも好きなタイミングで椅子を離れることもできました。

そしてチームは、恐怖体験の「不確実性」が被験者の不安感に与える影響を調べるため、2つの実験シナリオを作成しています。

1つ目は電気ショックがいつ来るかわからない「不確実性が大」のシナリオです。

ここで被験者は椅子に座り、「10秒以内のどこかのタイミングで電気ショックが発生する可能性がある」と言われます。