しかしそうなると、どんな種類の腸内細菌が「ボッチ」に有効か気になります。

研究者たちはこの問いにも答えてくれました。

特に乳酸菌の「E. フェカリス」がボッチを癒す

フェカリス菌は代表的な乳酸菌のひとつ
フェカリス菌は代表的な乳酸菌のひとつ / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

副腎を引き抜いたり脳を改造する方法は、確かにマウスの社交性を回復させました。

しかしどちらも非常に身体に負担が大きいものになっています。

そこで研究者たちは、腸内細菌を持たないマウスたちにさまざまな乳酸菌を与えて、どの種類の菌が社交性を回復させるかを調べました。

結果「Enterococcus faecalis」(エンテロ コッカス・フェカリス)を与えたマウスで、社交性が大きく改善することが示されます。

「E. フェカリス」は市販の胃腸薬や腸活サプリメントの一部に含まれている、代表的な乳酸菌です。

腸内細菌と脳は会話している

腸内細菌は脳と通話を行いながら動物の精神を支配している
腸内細菌は脳と通話を行いながら動物の精神を支配している / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

今回の研究により、腸内細菌がマウスに社交性を与える仕組みが示されました。

腸内細菌は脳に一種の「話しかけ」を行い、ストレスホルモン(コルチコステロン)の生産命令を抑制することでマウスの気分を改善し、社交的になる精神的余裕を与えていたのです。

また研究では「E. フェカリス(あるいはフェーカリス、ファエカリス)」と呼ばれる乳酸菌が、マウスに社交性を与えられることもわかりました。

将来、社交性は人間がコントロールできるものになるのかもしれません。

※この記事は2021年7月公開のものを再掲載しています。

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参考文献

Gut bacteria may ‘talk’ to the brain, mouse study suggests
https://www.livescience.com/microbiota-shape-social-behavior-mice.html