オカルト的なレムリアは今も生き続けている
動物学者という科学者から提案されたレムリアであるが、このように神秘主義やオカルティズムの色彩が濃くなってある意味では収拾がつかない事態を迎えていた。しかしアルフレッド・ウェゲナーの「プレートテクトニクス理論」が広く受け入れられるようになった1960年代、レムリアをめぐる想像力は幕引きとなった。つまり現在は海を隔てた別の場所であっても、かつては同じ場所であったことは珍しくない自然現象として認知されたのである。
プレートテクトニクスを研究している科学者たちは、インドとマダガスカルが遠い昔、一度だけではなく二度も同じ大陸の一部であったことを突き止めている。インドとマダガスカルは最終的に約7000万年前に分離したということだ。
プレートテクトニクス理論によって科学的なレムリアの命脈は尽きたのだが、オカルト的なレムリアは今も生き永らえている。
前述の“クマリカンダム説”は、1980年代までインド南部のタミル・ナードゥ州の歴史教科書に載っており、1981年には州政府が大陸沈没説と大陸移動説を調和させ、レムリアが科学的に正当であることを示そうとするドキュメンタリーに資金を提供している。
「レムリアン・フェローシップ」の本部がある南カリフォルニアの小さな町、ラモーナでもレムリアは生き続けている。1936年に設立されたレムリアン・フェローシップは、ムー(レムリアの太平洋版)出身のマスターのグループによって創設者され、秘伝の知恵を伝える宗教団体だ。
同教団によれば、我々は普遍的な法則(輪廻転生、カルマ、キリストの教えへの信仰を含む)に従って生きれば、文明は高度な段階に達するだろうと述べている。その指針となるのは、精神的、物質的、精神的なバランスであり、トレーニングによってそれが可能になるということである。
同教団は会員が作った芸術品や工芸品の販売によって運営の一部を支えており、彼らの木製ビーカーの1つはニューヨーク近代美術館に保管されているという。
動物学者、フィリップ・スクレーターが1世紀半前に思いついたレムリアは、彼自身も予想だにしなかった奇妙な顛末を辿って宗教団体まで生み出すことになった。それほどにレムリアはある種の人々にとって魅力的なテーマであるということだろうか。ひょっとするとこのレムリアが今後新たな展開を見せることがあるのかもしれない。
参考:「Big Think」ほか
文=仲田しんじ
提供元・TOCANA
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