人が地の面に殖え始め、娘たちが生まれて来た時、神の子たちが人の娘の美しいのを見て、その中から好きなものを選んで妻とした。そこでヤハウェは言われた、「わたしの霊はいつまでも人の中に留まることは出来ない。人といっても彼は肉であるから。その寿命は百二十歳にきめよう」。 神の子たちが人の娘らと交って子供を生ませたその頃、この地には巨人(ネフィリム)がいたのである(もっとも巨人はその後の時代にもいた)。彼らは大昔の名だたる勇士であった。《旧約聖書 創世記 第六章より》
少々長くなったが、創世記の中で巨人について記載されている部分をそのまま引用した。創世記では、巨人が単なるモンスターのように描かれているのではなく、かなり具体的な存在として説明されていることが分かる。もちろんこれは神話であり、どこまで史実を反映したものなのか定かではなく、そのまま受け取るのは危険だろう。そもそも、すべてが架空の物語なのかもしれない。
■世界各地に残る巨人伝説
ところが、興味深いことに、巨人伝承は世界中のありとあらゆる神話や伝説に登場するのだ。旧約聖書外典「ヨベル書」、「エノク書」、ギリシャ神話や北欧神話、さらに周王朝時代の書物に至るまで、古今東西津々浦々、巨人伝承の例を挙げるとキリがない。
こう言うと、「巨人について記されている神話や伝説が100集まろうが、1000集まろうが、それらがどれだけ事実を反映したものか疑わしい以上、かつて巨人がいたという証拠にはならない。なるはずがない。論をせんより証拠出せ」と思う読者もいることだろう。まったくその通りである。しかし、巨人は伝承に登場するだけではなかった。実は、証拠と考えられるものも世界中で見つかっているのだ。