捜査は進展を見せたのだが…
マーティン一家の行方不明から丸2カ月が過ぎた1959年2月、新たな証拠が続々と集まることになった。
1つはタイヤ痕の場所の近くにある河川掘削施設からの連絡で、川底に自動車のような何らかの大きな金属製の物体が引っかかった形跡があったのだ。一度は引っかかったものの、その後に、深くて流れの早い川に流されたことが推定された。
そしてこの後まもなく、一家の娘のスーザンとバージニアの遺体がコロンビア川の下流の岸で発見された。遺体は認識できないほど痛みが進んでいたが、検死官は死因が溺死であると判断した。奇妙なことに、2つの遺体は互いに30マイル離れて発見され、バージニアの遺体の頭蓋骨に穴が開いていたが、その原因は特定できなかった。
事件を担当していたオレゴン州マルトノマ郡のウォルター・グレイブン刑事は、捜査を進めるほどに単なる転落事故であるとは思えなくなり、何か怪しいことが起こっているのではないかと疑いはじめた。
グレイブン刑事は、捜査の過程でいくつかの興味深い手がかりを見つけた。彼は放棄された盗難車の近くで見つかった拳銃が売られたデパートを特定したのである。
実は、マーティン一家には事件当時ニューヨーク海軍基地で働いていた長男、ドナルド・マーティンがおり、彼はかつてそのデパートで働いていただけでなく、まさにその拳銃を盗んだ容疑で逮捕されていたことが明らかになったのだ。
さらに関係者へを聞き込みを続けると、ドナルドは家族とかなり仲が悪かったことがわかり、そしてそれだけでなく、彼は失踪した家族の捜索に一切協力しておらず、彼らの追悼式にも出席していなかったこともわかった。
グレイブンはドナルドに接触し、彼を重要な容疑者と見なしたが、それを証明する確固たる証拠はなく、その後もドナルドは逮捕されたり、家族の失踪に関係した罪で起訴されたりすることはなかった。そしてマーティン・ドナルドは2003年に死去し、すべての謎と共に墓標の下に眠ることになる。
事件の鍵を握る長男のドナルドが死亡したことで、もはや迷宮入りとなることがほぼ確実な「マーティン一家失踪事件」だが、初期の捜査が終わった段階で当局が何故か自動車泥棒の男たちに事情聴取をしなかったり、見つかった拳銃の出所を追跡しなかったことなど、意図的に捜査の手を緩めたように思えることも謎だ。残念ながら“真実”には決して触れられることなく事件は忘れ去られていくのだろう。 参考:「Mysterious Universe」ほか
文=仲田しんじ
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提供元・TOCANA
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