創価学会の池田大作名誉会長NHKより

創価学会の池田大作名誉会長が亡くなったニュースを、最近はあまり使われない表現だが「巨星墜つ」という感慨で聞いた。

戦後という日本が平和で豊かであった素晴らしい時代を創った最大功労者の一人だと思う。「戦後が終わった」という感慨を持ったのは、昭和天皇の崩御は別格として、松下幸之助翁の死に、少し似た気分があったくらいだろうか。

昭和天皇の崩御を含めて、長い間、遠くない時期にXデーが来ることが予想されていたので、安倍元首相のような非業の死とは違って、誰しもにとって心構えはできていたとはいえ、喪失感は大きい。

池田名誉会長が、成功した宗教団体のトップというだけに留まらない、思想性や生き様をもっていたのに少し似ているとすれば松下翁であろうし、実際、この二人は馬が合ったようで、松下政経塾を創始するときに、指導者として池田氏を招聘しようとしたほどだ。

高度経済成長を牽引した日本の大企業に「三方よし」的な道義性を根付かせ、労使や流通網との暖かい関係を確立したのが松下氏であるとすれば、故郷から大都会に出てきたり、あるいは様々な不幸で人の温かさを感じられなくなった人々に前向きに生きる気持ちを与えたことにおいて、池田氏の功績は特筆すべきものだ。

また日中友好に対し、それぞれのやり方で尽くすことで戦争の記憶という棘を抜くことに二人は偉大な貢献をしていることでも共通している。

宗教家としては、日本の宗教史の中でみたとき、日蓮とか親鸞といった教祖を別にすると、聖徳太子、行基、蓮如、池田氏あたりが突出した存在であるようにみえる。

とくに、私の先祖は、近江の矢島の門徒として、隣の在所である荒見にあった蓮如上人を支えていたので、戦国時代にあってそれまでの貴族や武士の宗教であった仏教を農民の宗教に発展させた蓮如上人と池田氏の功績はダブってみえることがある(浄土真宗も創価学会も同意してくれるかは知らないが)。