現在海外のTikTokを中心に「fried rice syndrome(チャーハン症候群)」と呼ばれる症状が、SNSユーザーを震え上がらせています。
一風変わった病名ですが、別にチャーハンが無性に食べたくなる病気ではありません。
これは調理した料理を室温で放置することで増殖する「セレウス菌」を原因とした食中毒です。
実はこの症状に関連して、2008年には20歳の大学生が調理したスパゲッティを室内に放置し、5日後に再加熱して食べた後に死亡する事故が発生しました。
海外TikTokではこの事件が今になって再び広く共有され、多くの人たちが怯えているのです。
この事件はさすがに極端なケースですが、チャーハン症候群は誰もがなりうる身近な食中毒のひとつです。
そのため今回は、海外で話題になっているチャーハン症候群について知っておくべきことや身を守る方法について解説します。
「チャーハン症候群」とは何か?
セレウス菌(Bacillus cereus)は、河川や土の中など自然環境に広く存在する細菌の一種です。
そしてこの菌は私たちが口にする、米・小麦・豆・野菜などの食材にも潜んでおり、そこで有害な毒素を作り出します。
そのため、セレウス菌を原因とする食中毒が、チャーハン・焼きそば・ピラフ・スパゲティー・オムライス・パエリアといった料理で発生することがあるのです。
このことから、英語圏ではこの食中毒を「チャーハン症候群(fried rice syndrome)」と呼んでいるようです。
ただこれは日本人にはあまり馴染みのある呼び方ではなく、日本では細菌の名前をそのまま取って「セレウス菌食中毒」と呼ばれるのが一般的です。
セレウス菌の何が危険なのか?
セレウス菌は室温で長く放置されたままでいると、「芽胞(spore)」と呼ばれる細菌の一種を作り出します。
セレウス菌の生み出した芽胞は熱に対して非常に強く、90℃で60分加熱しても死なないのです。
芽胞は30℃前後でもっとも活発化し、急激に増殖しながら食中毒の原因となる「セレウリド」という毒素を生産します。
つまり、調理後に放置されたチャーハンや焼きそばは、セレウリドが大量増加しやすい最適な温度環境になっているのです。
しかもセレウリドは通常の加熱では死なないので、「レンチンすれば大丈夫でしょ」が通用しません。
では、その事実を知らずに放置した料理をレンチンして食べると、どんな症状に見舞われるのでしょうか?