“無断盗聴”と“傾聴”にある大きなリスク
作業部会の声明では聞くという行為自体がすでに「接触の段階」に入っていることが示唆されている。接触は単一の出来事ではなく、計画から始まる一連のプロセスとして考えるのが相応しいということだ。
とすれば許可なく話を聞くことは、一種の監視であり、場合によっては一種の盗聴のようでもあるという。この行為に気づいた彼らに、地球人が無礼者であると認識された場合、あるいは地球人が返答できない“文盲”の未開人だと思われた場合、彼らとの接触は我々の植民地化につながる可能性が高くなることをショーター氏らは指摘している。つまり“無断盗聴”と“傾聴”には大きなリスクがあるというのだ。
ジェームズ・クックが率いた1768年のHMSエンデバー号の航海によって、オセアニア全土にわたる大規模な植民地化と先住民の収奪が始まったことは史実だ。
王立協会はクックに対し、現地に危害を及ぼすことはせず、広く人類に利益をもたらす研究のみを行うという「第一の指令」を与えた。しかし探検家が資金提供者から独立していることはほとんどなく、彼らの探検は当時の政治的背景を反映していたのだ。
広大な時空を隔てているにもかかわらず、クックの航海とSETIはどちらも、全人類への奉仕における重要な特質を共有している。したがってクックの航海の過ちを繰り返さないためにも、SETIが企業、軍、政府の意図から自分たちの意図を明確に切り離すことが重要であると研究チームは指摘している。
地球上の帝国主義と植民地主義の歴史は、誰もが植民地化から恩恵を受けるわけではないことを示している。地球外生命体との関わりがどのようになるかは誰にも正確にはわからないが、地球自身の歴史からの教訓を遅かれ早かれ考慮すべきであると研究チームは提言を結ぶ。
地球外文明からのシグナルを発見したり受信した場合、こちらも“返信”をすべきであるかどうかはかねてから議論になっており、故スティーブン・ホーキング博士は宇宙人からのシグナルには絶対に応答してはならないと警告していた。
しかし今回のショーター氏らの研究チームはシグナルを検知することで“ファーストコンタクト”のプロセスははじまっているのだと主張している。そして応答できるのにしないでいることは先方のモラルに影響を及ぼし攻撃を受ける可能性がゼロではないことが初めて問題提起されたことになる。
なかなかに高度な政治的判断が求められる問題だが、“ファーストコンタクト”をどのような態度で臨むのか、人類全体でそろそろ考えておかねばならないのだろう。
参考:「The Conversation」ほか
文=仲田しんじ
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提供元・TOCANA
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