地球外文明との“ファーストコンタクト”は近いのか――。そしてその日を迎えた暁にはどのようなシナリオが想定されるのか。ある専門家によれば我々は歴史から学ばなければ地球が植民地化される可能性が高まると警鐘を鳴らしている。

“ファーストコンタクト”の担当者は誰なのか

 UFO/UAPにまつわる情報開示の機運が高まっているが、地球外文明の存在が明らかになった場合、我々はどのように彼らに接していけばよいのだろうか。

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(画像=画像は「Unsplash」より,『TOCANA』より 引用)

そこで参考になるのは、これまで地球上で行われてきた“文化接触”のケーススタディである。

 カリフォルニア大学バークレー校SETI研究センターと提携した作業部会に参加しているカリフォルニア大学ロサンゼルス校終身教授のデビッド・ショーター氏らの研究チームはオーストラリア、ニュージーランド、アフリカ、そして南北アメリカ全土での学際的研究に基づき、数世紀に及ぶ世界中の文化接触とその成果を研究してきた。

 研究チームは地球外生命体のメッセージに耳を傾ける「倫理」と「知性」と「生命」の定義について多様な視点が必要であることを示唆している。“ファーストコンタクト”はイベントではなく、すでに始まっている長いプロセスであるというのである。

 ショーター氏らによればまず明確にしなければならないのは地球外生命体との接触に備える「責任者」は誰なのかである。普通に考えて地球外文明との接触の“責任者”は軍事、企業、科学の分野である。

 2015年年12月に成立した「商業宇宙打上げ競争力法(Commercial Space Launch Competitiveness Act)」によって民間人に宇宙旅行や惑星資源採掘から利益を得る法的権利が与えられたことで、企業が地球外文明の兆候を最初に発見する可能性が出てきた。それ以外の場合、未確認の航空現象の検出は通常は軍事問題であり、NASAが地球からのメッセージの“送信”を主導するが、宇宙空間から地球に届く電波を解析し文明を持った地球外生命体が発していると考えられる信号を“受信”する活動は、SETI(地球外知的生命体探査)と呼ばれるプログラムに属する。

“ファーストコンタクト”を考えるにあたってSETIにはいわゆる“理系”の研究者しかいないことから、2018年から社会科学や人文科学の分野の研究者を招いた作業部会が発足したのである。

“ファーストコンタクト”の考えられる状況としては、ETの遺物の発見、数千光年離れたところからの信号の検出、宇宙や他の惑星での微生物の発見、彼らや我々の種の生物学的汚染などが考えられる。しかしアメリカ政府や軍首脳がこうしたシナリオに耳を傾けるかどうかは別の問題だ。

 このような“ファーストコンタクト”の後、われわれはどのように振る舞えばよいのか。「SETI Research」の名誉会長であるジル・ターター氏は、どのET文明も我々のコミュニケーション技術を未熟で初歩的なものと認識するため、リスニングのみに徹することを支持している。

 しかしショーター氏らの作業部会は、植民地との接触の歴史を引き合いに出して、地球外文明が知的で先進的でありモラルが高いと考えることの危険性を示した。たとえばクリストファー・コロンブスなどのヨーロッパの探検家がアメリカ大陸にやって来た際、現地との関係は「インディアン」は文字を持たないためにあまり進歩していないという先入観によって形作られた。これによりアメリカ大陸において数十年に及ぶ植民地化と隷属化が始まったのだ。

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(画像=画像は「Wikimedia Commons」より,『TOCANA』より 引用)