両陛下は、皇族としての立場だけでなく、個人としての生活や関心事項も尊重すべきだというお考えなのであるから、この比較はまことにおかしい。

藤澤志穂子氏の著書には、噂だと断りつつも、秋篠宮殿下が成績不振だったから内部進学の基準が甘くなったという風説が紹介されている。私は陛下より9歳年長なので、子どもの時から、学習院関係者が、美智子妃殿下(当時)への反感から見て来たような誹謗をしたり、その子どもだからといって浩宮・礼宮両殿下のお二人の成績や素行について怪しげな陰口を話していたのをよく憶えている。

これも両殿下の学力を揶揄した悪質な風説なのだが、そのうち、都市伝説だろうといいつつ、秋篠宮殿下の分だけ紹介して、兄弟で差があるようにいうのはいかがなものか。

さらに、紀子さまの父親が学習院大学教授で職員住宅に住んでいたことについて、「家賃は相場より格安、かつ教職員の子女が学習院に通う場合、学費は半額だったと聞きます」と書いているのは、学習院OGたちが何かと言えば、皇嗣妃殿下についてそんなことばかりいっている様子が窺える。

藤澤氏は紀子さまより一年後輩だそうだが、このあたりの女子学生にとっては、家族や富豪でなく教官の娘である川島紀子さまが秋篠宮妃の地位をゲットしたのが口惜しかったのだろうということは想像できる。たださすがに、それをまとめて本にしたりすることはなかった。

また、佳子さまが学習院大学文学部教育学科に半年だけ通って退学し、ICUを再受験されたことについて、ICU再受験を前提にステルス入学をして受験準備をしたというように書いて、これをノブレス・オブリージュに反するといっているが、半年間、通われた後に再受験をするために退学されており、事実でない。

藤澤志穂子氏は学習院で学ぶとノーブレス・オブリージュが身につくと強調しているのだが、まったくそのようなものは身につかないことを宣伝しているようなものというべきだ。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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