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新しい高額ながん治療薬による経済的毒性が問題となって久しい。高額な分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害剤は、個人の医療費負担の重さや国の医療経済・医療保険制度における大きな課題となっている。

私は、患者さんにとって本当に利益があるならば、薬剤費は高くても仕方がないと考えている。

「利益がある」とは、例えばがんの場合、「治癒率が高くなる」「再発率が低くなる」「長期間増悪しない」「副作用が軽減される」などが挙げられる。もちろん、これらによって、「生活の質が向上される」「仕事をしながら治療を続けることができる」患者さんが増えるはずだ。

しかし、企業の利益のために、事実が捻じ曲げられることはあってはならない。

数か月前のNature Reviews Clinical Oncologyの“News & views”欄に「NALIRIFOX for metastatic pancreatic adenocarcinoma: hope or hype?」というタイトルの意見のような記事が掲載されていた。「Hope or Hype」は「期待か誇大か?」というような意味でかなり挑発的なタイトルだ。