対応言語一覧には日本語も、国外ローカライズにも活用可能か

インド国内22言語にまたがる大規模データセットに基づくDevnagriのツールだが、試しに無料トライアル版にログインしてみると、22の指定言語だけでなくスペイン語や中国語、日本語なども選択できる状態だった。インド国外言語対応について公式発表などは確認できないが、翻訳の精度次第では国外ローカライズ作業にも活用できそうだ。

そもそも、同社起業のきっかけはSharma氏が旅行で日本を訪れた際に得た着想だったらしい。Devnagriの機械翻訳モデルにデータベースプラットフォームを提供するMongoDBおよび地元メディア記事で確認できる。

Image Credits:Devnagri

30か国以上の旅先で言語や現地住民、文化を観察してきた旅行マニアの同氏。日本の人々の多くが英語を解さないにもかかわらず、大部分が英語基準であるインターネットサービスを問題なく利用できていること、そして翻訳がカギとなることに気づいたそうだ。

「日本の人口の95%が第一言語の日本語だけで不自由なく生活している。インドでも同じことが可能なはず」。ひいては、「インド国内の言語によるコミュニケーションというコンセプトを推し進めれば、インドも日本のように発展できるだろう」と考えたという。

プレシリーズAで金額非公開の資金調達

7月25日、DevnagriはInflection Point Venturesが主導するプレシリーズAラウンドで資金調達を実施したことを明らかにした。ただし、金額は非公開である。

この資金はさらなるマーケティング、販売、技術拡張、研究開発、インフラ、管理費に充てられるという。また、インド国内の言葉の壁を乗り越えて全国的に展開するには、22の指定言語対応だけではまだまだ十分ではない。方言を含めたその他の言語は数百とも言われるほど多様で、それぞれ「この言葉しか話せない」という層を抱えているのだ。

「Devnagri」とは、インドの古代文字を意味する。現在インドに存在する言語のほとんどがこの文字から派生した表記体系を使用している、「インド人の心と魂に響く言葉」だそうだ。

(文・澤田 真一)