守勢といっても天下のトヨタ自動車の経営をどうこう言うつもりはありません。ただ、長らくトヨタの天下が続いた日本の自動車業界において節目にある気もします。
生産台数世界一は4年連続となり、23年は実に1123万台、2位のフォルクスワーゲンが924万台であることを踏まえればかつては日産も含め激しい首位争いをしていた頃から比べ余裕の単独首位とも言えます。ではどうしてお前はそのトヨタが守勢と感じるのかと思われるでしょう。こんなのはコンサルタントに聞いても答えは出てきません。案外経営的勘が当たるものなのです。
以前、私は業務用でトヨタ「シエナ」を発注したとお話ししたと思います。日本の方には「シエナ」はあまりなじみがないと思いますが、ミニバン7-8人乗りでハイブリッド仕様、内装も良い割には安い(550万円程度)という特徴があります。製造はアメリカ インディアナ工場です。日本にはアルフォードやヴェルファイアなど高級バンがありますが、北米はなぜかミニバンブームがとっくに終焉しており、ミニバンを作るメーカーを探せばトヨタ、ホンダ、クライスラーぐらいしかないのではないかという状態です。
2月に予約を入れたディーラーに「待ちはどんな感じ?」と聞くと「この車は最も手に入らない車だから納期の予想をするのは無理。客によっては数年待っている」と。その話は以前から聞いているので驚きはしないのですが、街では私が求めているシエナが走っているのをよくお見掛けするのです。そこで知り合いの自動車販売業者に「なんでだろう?」と聞くと「新車が来るとそれを別の自動車販売ディーラーに流しているのではないか」と。つまり、自動車販売会社が客に売らずに全く別の自動車会社のディーラーに新古車で卸し、定価より100万円ぐらい上乗せして販売、その上乗せ分をディーラー同士が折半してポケットに入れているのだろうと。私はその言葉通りには信じませんが、確かにネット上には新古車が他の自動車会社の中古車部門で定価よりはるかに高い金額で出ているのです。おかしいですよね。多分フリッパーと称する連中が市場荒らしをしているのだろう思います。