米空軍はUFOの機密情報の隠蔽に際して、心理学者のユング1人に濡れ衣を着せようとしていたのか――。UFO/UAPに関して闇に葬られた情報がまだまだあることを思い知らされる記事が話題だ。
ユングの批判に米空軍が反論していた!?
1952年7月、米ワシントンD.C.上空に多数のUFOが飛来した「ワシントンUFO乱舞事件」は多くの人々がUFOを目撃し、国中が警戒態勢となる大騒動となった。
国民の不安に応えて当時のハリー・トルーマン大統領は記者会見を開くことを余儀なくされたが、その後にこの一件は特別アクセスプログラムのカテゴリーに入り、一切が不問に付されることとなった。1997年の米国上院報告書によると本件は「非常に機密性が高いため、議会への標準報告義務が免除されている」という。
このように事実上永久に封印され、闇に葬られている機密情報が存在することが示唆されているのだが、かつて高名な心理学者は米空軍がUFOに関する情報を隠蔽していると激しく断罪している。
いわゆる“ユング心理学”を創始したカール・グスタフ・ユング(1875-1961)はUFO現象にも興味を持っていたことで知られているが、最近になって機密解除されたCIA文書から、ユングはUFO情報の隠蔽工作を図る米空軍を厳しく批難していたことが判明している。
当時の有名なUFO研究者であるフレッド・キルシュによって書かれた文書の中で、CIA(米中央情報局)の3代目(1947-1950)長官ロスコー・ヒレンケッターは、かつてUFO情報の扱いについて深刻な懸念を抱いていたことが記されており、ユングについての言及もあったことが明らかになっている。
「真実が明らかになる時が来ました。舞台裏では、空軍の高官はUFOについて真面目に心配しています。しかし公式の秘密と嘲笑を通して、多くの市民は未知の飛行物体がナンセンスであると信じるように導かれます。私は未確認飛行物体についての秘密主義からの危険を減らすために、議会の即時の行動を要請します」(ロスコー・ヒレンケッター)
ヒレンケッターの懸念の表明は、ユングが空軍の隠蔽工作を批判したことがきっかけとなったようだ。空軍はユングの批判に対して反論していたようなのだ。
「これは空飛ぶ円盤に対する信念と、空軍がこれらの物体に関する真実を隠蔽しているという非難に対してカール・ユング博士を批判する手紙への返信です。私が指摘したいのは、このような告発を行った高潔で名誉ある人物はユング博士が初めてではないということです。彼は単に最新の人物にすぎません」(文書より)
この文書はさらに、ヒレンケッター以外の人物の名前も挙げている。海軍誘導ミサイル研究プログラムの元ディレクターであるデルマー・ファーニー提督もまったく同じ告発を行っていたということだ。
この件を取り上げた「Anomalien.com」の記事では、もしユングがそのような告発をした唯一の責任者であるならばすべてのことをナンセンスとして無視することができるとし、当時の空軍がユングという“変人”1人に汚名をなすりつけて幕引きを図ろうとしていた可能性を指摘している。
しかし多くのパイロット、レーダー操作員、その他の訓練を受けた観察者がUFOが本物であることに同意した場合、状況を真剣に再評価する必要があり、これはUFO/UAPに関する情報開示の機運が高まっている昨今においてまさに今日的問題である。知り得る限りにおいて闇に葬られた核心的な機密情報がないか監視の目を緩めてはならないのだ。