政治BBC、スキャンダルで長期不在の元キャスターにも高額報酬:収入減で人員整理も予定
トップはサッカーの解説者リネカー
BBCは毎年、年次報告書の中で、年間報酬額が17万8000ポンド(約3547万円)を超える人のリストを発表している。今年は46人がこの中に入った。
英国の首相の給与は国会議員としての報酬が9万1346ポンド、首相という職務への報酬が8万807ポンド(実際には7万5440ポンドを申請するという)。合計約17万ポンドであるので、「首相の給与以上を得る人のリスト」と言ってもよいだろう。
ニュース報道部門の出演者の中で、トップはヒュー・エドワーズだったが、娯楽やそのほかの番組も含めると、首位に来たのはサッカー番組の解説者ゲーリー・リネカで、金額は135万ポンド(約2億6900万円)。次が複数のラジオ番組の司会者を務めるゾーイ・ボール(95万ポンド、約1億8900万円)。次がエドワーズ。
上位10人のうち、男性が6人、女性が4人である。
リストには入っていないが、巨額報酬を得ていると目される何人もの著名タレントがいる。個人ではなく、会社が報酬を受け取る形になっている、あるいはBBCの商業部門から収入を得るようにした場合は報酬が公表されない。職員やスターの報酬公開はあくまでも国内向けの放送・配信を担当する公共サービス部門に関わる場合だけだ。
一方、経営陣の報酬はどうなのか。
トップのディレクター・ジェネラル(NHKの会長に相当)であるティム・デイビーは52万7000ポンド(約1億514万円)だった。
収入減で人員整理へ
BBCには国内の放送・配信活動を行う公共サービス部門と海外向け放送・配信、放送権販売などの商業部門からの収入がある。「BBCグループ」としての収入は6%減の54億ポンド(約1兆774億円)だった。
このうち、受信料収入は37億ポンド(約7373億円)で、前年度より2%減。受信料収入を払う世帯が50万戸も減っていた。
前保守党政権によって、BBCの受信料の金額は2年間凍結することになっている。現在は年間で169.50ポンド(約3万3778円)だ。高インフレが続く英国で、凍結は非常に厳しく、実質的には収入が減る構造になっている。
そこで、「今後3年間で、毎年5%の収入増」を目指し、人員整理を断行する予定だ。デイビーによれば、ネットで約50の職を削減する予定だという。これがBBCの報道部門に何らかの影響があるのかどうかについては語らなかった。
以下は24日付けの朝刊無料紙「メトロ」の表紙。BBCのボスが「『ストリクトリー』を中止するかだって?」という問いに、「そんなことはない(no chance)」と言ったということを伝えた。ここで、chanceとダンスの「chachacha」をかけた。
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編集部より:この記事は、在英ジャーナリスト小林恭子氏のブログ「英国メディア・ウオッチ」2024年7月25日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「英国メディア・ウオッチ」をご覧ください。