出版の話や不動産投資、ITを使っての搾取など、あなたの財産を狙ってくる「シロアリ」たちは非常に多いのが現状です。社長はもちろん課長も社員もフリーランスも、こんな手口には騙されないでください。
「できる社長のお金の守り方 オイシイ話はなぜ稼げないのか」(服部真和著)秀和システム
「権威性」と「思考停止」があなたの脳を奪う秦の始皇帝をご存じでしょうか。映画化もされた「キングダム」で取り上げられているので、知っている方も多いかもしれません。始皇帝は本名を嬴政と言います。しかし、中華統一後、徐福という男に騙されたエピソードがあります。服部さんは次のように続けます。
「徐福は、呪術、祈祷、医薬、占星術、天文学に通じた方士でした。方士とは、現代でいう学者、つまり『権威ある専門家』です。嬴政は、専門家の『権威性』を信じてしまったのです。始皇帝が生きていた紀元前の伝記ですから、話が盛られている可能性はありますが、専門家の『権威』を信じてしまう人間の構造は現代でも同じです」(服部さん)
「たとえば、有名な医師がコメントしたサプリメント、有名な実業家が推している株。もっと身近な例で言えば、高級なブランド物を身に着けている人を『お金持ち』とか、一流大学を出た人を『頭がいい』などと、無条件で判断したりしていませんか?そんな事柄から、ついつい信じてしまうことはたくさんあります」(同)
人間は、油断すると「権威性=正しい」という直感的な判断で信じてしまうことがあります。人間の脳は、細かい理屈や理論をいちいち考えると、処理が追いつかないのです。そのため、効率的に直感的な判断をすることが多くなると、服部さんは指摘します。
「でも始皇帝って、当時の中華でいちばん権威ある人じゃないの?と思う人もいるでしょう。たしかに、当時の中華でいちばん偉かった人が、なぜ方士の権威性を信じるのでしょうか?これには、もう一つの注意点があります。それが『思考停止状態にあるか否か』です。思考停止状態とは、適切に物事を考えたり、判断できなくなっている状態です」(服部さん)