収益力は一時的にせよ悪化?
JR東海の経営的に懸念材料となっているのがリニア新幹線だ。同社は品川―名古屋間の開業を最短で2027年、東京―大阪間を37年としていたが、建設に反対する静岡県の工区の工事遅れが原因で先月、品川―名古屋間の開業時期を「未定」に変更。すでに同区間の総工費は当初見込みから1.5兆円増の7兆円となっているが、工事期間が延びればさらに膨れ上がる懸念がある。また、無事に開業しても、リニア新幹線と並行して運行する東海道新幹線の利用者数は減ると予想され、日本全体の人口減少も進行することから、トータルで想定通りの利用客数・利益を確保できるのかは不透明だ。JR東海の高い収益力は、今後も継続していくと考えられるのか。
「先に挙げた東海道新幹線の特徴は1964年の開業以来、一貫して変わっていません。したがって、JR東海の高い収益力は基本的に今後も続いていくでしょう。ただし、リニア中央新幹線の建設に要した費用、特に2016年と翌2017年に合わせて3兆円を借り入れた国の財政投融資の返済時期には多少変化していると思われます。財政投融資は30年間の据え置き期間後、10年かけて元金均等で返済することとなっていて、実際には2046年以降、返済することとなっています。借り入れたときにはリニア中央新幹線が品川-大阪間の全線が開業していて、安定して利益を出していると予想されたのですが、現実には品川-名古屋間が最短でも2034年と遅れが見込まれているので、返済条件を変えてもらわないとJR東海の収益力は一時的にせよ悪化すると思います」(梅原氏)