好調なHV

 こうしたなかで販売を伸ばしているのがHVだ。テスラは24日の会見で、他社のHVの販売増により自社のEVの売上が減っていると認め、自動車市場でHVが伸長していることを批判しているが、実際にHVの好調は顕著だ。例えばトヨタ自動車は23年度の世界販売台数が対前年度比7.3%の増加となり、初めて1000万台を超えたが、HVの販売増による押し上げが要因の一つだとしている。

 欧州では月単位でみるとEV販売が前年比マイナスとなる国も出始めており、2月8日付日本経済新聞記事によれば、欧州市場の22年から23年にかけてのEV販売の伸びは2.5ポイントであるのに対し、HV(HEVのみ)のそれは3.1ポイントとHVのほうが上回っている。また、23年の新車販売に占めるHVの比率は33.5%なのに対し、EVは14.6%にとどまっている。

 米国でも、22年10~12月期から3四半期連続でHVの販売台数がEVを上回り、23年10~12月にはトヨタのHVの販売台数が四半期ベースで過去最高の約18万台となり、米テスラのEV(約17万台)を上回った(3月4日付読売新聞記事より)。ちなみに米国ではガソリン車も好調だ。米ゼネラル・モーターズ(GM)は大型のガソリン車が伸びており、1~3月期決算は売上高が前年同期比8%増の430億ドル、最終利益は同24%増の29億ドルとなった。

「テスラは昨年11月に発売した(電動ピックアップトラックの)『サイバートラック』も思うほど売れてはいない上に、今月にはリコールを発表するなど、新製品戦略にも狂いが生じている。価格的にも、充電ステーションなどの環境的にもテスラ車を買える消費者は限られており、世界で買える層には概ね行き渡ったという見方もある。加えて、中国勢の台頭によって、高収益の支えだった高額な価格を維持できなくなるとすれば、テスラの成長はストップする。遠くないうちにテスタが終わりの始まりを迎えるという見方も少なくない」(自動車業界関係者)