スロバキア議会で20日、公共放送RTVSの解散を決定した。同国では数カ月前から野党グループやジャーナリストたちが政府の決定に抗議するデモを行ってきた。公共放送の解散の理由は、「RTVSが政府の活動を客観的に報道せず、国民に偏向した情報を拡散し、政府の活動に一方的な憎悪を助長してきた」というものだ。RTVSは7月1日からSTVRと呼ばれる新しい放送局に置き換えられるという。

スロバキアのフィツォ首相(スロバキア政府公式サイトから)

ブラチスラバからの情報によると、議会では与党議員78人全員が解散関連法案に賛成し、野党議員らは抗議して議会から退出し、投票をボイコットした。野党側は「政府はメディアを管理下に置いて、情報操作を画策している」と批判。政府がRTVSを解散したという情報が流れると、同放送前でジャーナリストたちが「不当な解散だ。われわれだけではなく、国民にとっても大きな影響を与える」と抗議した。

同国では、昨年9月30日に実施されたスロバキア議会の繰り上げ選挙で、フィツォ氏が率いる野党「社会民主党(スメル)」が第1党になり、中道左派「方向党-社会民主主義(Smer-SD)」を中心に、中道左派「声-社会民主主義(Hlas-SD)」および民族主義政党SNSから成るフィツォ連立政権が昨年10月に発足したばかりだ。

フィツォ政権は隣国ハンガリーのオルバン首相に倣い、対ウクライナ政策では武器支援拒否、親ロシア政策を推進する一方、RTVSの解散など司法・メディアの改革に乗り出してきた。欧州連合(EU)のブリュッセルからは「スロバキアが第2のハンガリーとなる」といった懸念の声すら聞かれ出した。