何らかの理由や条件で犯罪者に好まれる酒場があるのかもしれない――。複数の凶悪殺人犯が常連客だった“全米で最も不気味な酒場”がイリノイ州シカゴにあるという。
■店の常連客が連続殺人犯だった!
飲食店が支持を得るには美味しい料理やホスピタリティはもちろんだが、店の雰囲気や立地などの条件も無視できない。特に提供するものにあまり差がないバーや大衆酒場などではそうした要素がより大きなウェイトを占めてきそうだ。
米イリノイ州シカゴのレイクビュー地区にある人気のバー「L&L Tavern(L&Lタバーン)」はシカゴ市の民間伝承に刻まれており、この酒場は全米で最も悪名高い複数の連続殺人犯が足繁く通っていたという不気味過ぎる歴史を持つ。
地元ツアー会社「シカゴ・ホーンティング・ゴースト・ツアーズ」は、L&Lタバーンはこの国における「最も不気味な酒場」だと解説している。
1991年、悪名高い連続殺人犯ジェフリー・ダーマーが逮捕され、17人の若者を殺害したことを認めて大きなニュースとなった。
“ミルウォーキーの食人鬼”との異名を取るダーマ―は1978年から1991年にかけて、主にオハイオ州やウィスコンシン州で17人の青少年を絞殺し、その後に屍姦、死体切断、人肉食を行っており、その恐ろしい残虐行為は1990年代初頭の全米を震撼させ、30年以上経った今でもその衝撃は語り継がれている。
当時のダーマ―はウィスコンシン州ミルウォーキーに住んでおり、ほとんどの殺人もそこで実行された一方、州は違えど隣町ともいえるシカゴにもよく足を伸ばしていた。自分を知る者が少ないシカゴのほうがダーマ―にとって遊んだり酒を飲んだりするのに心地よかったのかもしれない。
マシュー・ニッカーソン著『Images of America: East Lake View(アメリカのイメージ:イースト・レイク・ビュー)』によると、バーのオーナー、ケン・フランセンはダーマーが逮捕されたというニュースが流れた時、バーで接客をしていたと話している。全米でニュースが流れる中、地元住民はこの店の常連客であるダーマーが連続殺人犯であることを理解してショックを受けたのだ。
複数の情報筋によると、ダーマーはL&Lタバーンのスタッフの1人、フランキーに好意を持っていたという。またダーマーは窓辺に座って、近くのダンキンドーナツに出入りする若者たちを見つめるのが好きだったということだ。ダーマーは“獲物”を物色する目でこの席に座り、グラスを傾けていたのだろうか。