クイズです。この曲を作ったひとは誰でしょう?
「ジョン・ウィリアムズ!」正解です。1984年ロサンゼルス夏季五輪開会式を彩った、マスゲームの音楽。歴代五輪の楽曲で、おそらく世界一の有名曲だ。
ところでこの演奏動画、冒頭から再度聴いてみると…
このイントロ、日本ではほとんどの方は聴いたことがないだろう。
ところが日本とは縁の深い曲なのだ。1964年(昭和39年と呼んだ方がいいか)東京五輪が、衛星中継(五輪で世界初!)で全米放送されるとき、テーマ曲として使われたのがこの曲だった。
以後も五輪中継のたびにあの国ではこの「Bugler’s Dream」(原曲はナポレオン執政時代のフランス騎兵のラッパ・マーチだ)がテーマ曲として使われた。メキシコ大会(1968年)、ミュンヘン大会(1972年)、モントリオール大会(1976年)、レークプラシッド大会(1980年)等のテレビ中継においてもだ。
そのため1984年、ロサンゼルスで夏季五輪が開かれるにあたって、ハリウッド映画音楽の帝王ジョン・ウィリアムズは、大変な重責を担うこととなった。すでに五輪テーマ曲として全米に20年にわたってなじまれている、このフランス騎兵風マーチを、過去のものとしてしまうような、高らかな音楽を作らねばならなかったからだ。
キング・ジョンは期待を裏切らなかった。現在「Bugler’s Dreams」でYouTube検索すると、ライヴ演奏の途中で彼のロス五輪テーマ曲に切り替わる趣向のものがいくつも出てくる。白黒のブラウン管テレビ画面が、さっと4Kのカラー画面に切り替わるような感覚だ。
ロス五輪のとき、現地の観客や全米視聴者に、ジョンの新曲はきっとこんな風に颯爽と聞こえたことだろう。翌年にグラミー賞を受賞したのもうなずける。
今から32年前夏季五輪の開会式マスゲームといえば、もうひとつ印象的なのが1992年のバルセロナ大会のものだ。公式動画があるのでご覧いただきたい。
スペイン・カタルーニャ自治州の州都での開催ながら、作曲と指揮は日本人だ。
当の日本では、前期待が大きすぎたせいか、今一つの反応だったようだ。ビートたけしが「たいしたことなかったな。どんちゃかどんちゃか、俺でも作れそう」と午前深夜番組でおちゃらけている動画が残っている。