ニューヨーク・タイムズ紙によれば、アフリカは現在約13億人の人口を抱え、2050年には25億人以上に達し、世界最大の人口と労働力を抱える国になると予想されている。

一方、他の国へチャンスを求めてアフリカを離れたり、いわゆる“出稼ぎ”に行くことも珍しくなく、彼らが故郷で暮らす家族へ外国から送金を行う需要がある。同市場はこれまで非デジタルな送金業者がシェアを占めていた分野だが、昨今はデジタル化の勢いが増している。

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こうしたなか、ケニア・アメリカ・イギリス・オランダにオフィスを置くフィンテック企業のNALA(拠点はタンザニア)は、アフリカ諸国への国際送金に特化した決済アプリを展開。B2B決済プラットフォームの構築とあわせ、個人や企業がアフリカへ送金する際のコスト削減と信頼性の向上という2つの目標を達成することを掲げている。

無視できない、アフリカへの「送金手数料」

現在、年間100万人が、より良い機会を求めてアフリカを離れているというデータもある。

彼らが苦労して得た大切なお金を、故郷のアフリカへ送ろうとするとき、そこには「手数料」という壁が立ちはだかる。この要因による経済損失は無視できるものではなく、NALAの公式サイトによると2023年にアフリカ大陸出身者は手数料だけで約80億ドルを喪失しているという。世界銀行によると、アフリカへの送金は平均7.84%のコストがかかり、“世界で最も送金コストが高い大陸”とも位置付けられている。

また2023年末の時点でリアルタイム決済に対応しているアフリカ諸国はわずか6か国。他の地域と比較すると、アフリカ大陸は決済手数料やその反映速度によって不利を強いられている。

この状況を打破すべく、NALAは個人がスマホアプリで手軽にアフリカへ国際送金できる仕組みを構築。過去2年間で、同社のこの消費者向けフィンテックアプリは28倍に成長し、米国・英国・EUから11のアフリカ市場の249の銀行、26のモバイルマネーサービスを通じて故郷へシームレスに送金できるようになった。

信頼あるインフラストラクチャを自社構築

しかしながら、事業が成長するにつれ、転送遅延による送金トラブルなど支払いの信頼性に関する問題が絶えず発生したという。同社が問題を追究したところ、アフリカへの送金事業者の多くが同課題に直面していることを知る。同社は外部決済システムへの依存は持続不可能である状況も鑑み、必要に迫られて決済インフラを開発することを決断したと伝えている。

同社は、フィンテックでは規制遵守が最も重要であるとして、アフリカ全土で9つのライセンスを申請。すでに3か国でライセンスを取得するなかで、より優れたオペレーションを実現する基盤を自ら構築し始めた。

信頼性を確保することに加え、財務の直接管理、ユーザーコスト削減、支払いの効率化などを実現できるよう設計し、B2B決済プラットフォーム「Rafiki by NALA」が誕生。「Rafiki」はスワヒリ語で“友達”を意味する。

Rafikiは、グローバル企業がアフリカに支払いを行うための単一API。現在このインフラストラクチャは、同社の消費者向けフィンテックアプリの基盤にもなっている。

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同社は、“ウルグアイ金融テックdLocalがラテンアメリカ向けに、あるいは香港のAirWallexやシンガポールのNiumがアジア市場向けに構築したものを、私たちはアフリカ向けに構築している”と語っている。