自分をほめることからはじめてみよう

――「ほメガネ」をかけても、相手の良いところを伝えるのが難しいです。

「ほメガネ」をかけることになかなか慣れないのであれば、まずは自分をほめることからはじめてみましょう。

たったひとつだけで構いません。1日の行動を振り返り、どんな小さなことでも自分をほめてあげてください。他人に聞かれることもないので、「ほメガネ」をかける練習にも役立ちます。

毎日の自分をほめられるようになったら、次は周囲から受けた思いやりの行動を思い返し、心の中で“3つ感謝”することを意識してみてください。「ほメガネ」をかけているあなたなら、自然と人への感謝の気持ちが芽生えるはずです。

「ほメガネ」を常にかけられるようになれば、マイナスに思っていた人間関係が、プラスに思えていきます。「この人がいるなら会社を辞めてしまいたい」と思うほど苦手な人とも仲良くなって、いままで悩んでいたことがもったいないと感じられるようになるかもしれませんよ。

―――ほめるだけでなく、「叱る」ことに対してはどのように思われるでしょうか?

良いところだけでなく、悪い部分に関しては「叱る」ことも、関係性を良くしていくうえでは大切です。「ほメガネ」をかけて、相手を普段からほめられている状態であれば、叱ることにも大きな意味が出てきます。

私は、周りがまったく見えていない同期を叱ったこともあれば、モチベーションが停滞している上司に「いつになったら本気出すんですか?」と強い言葉をかけたこともあります。

ただ、私は同期の良いところも普段からたくさん言葉にしていたし、上司の尊敬する部分も多く知っていました。だからこそ、ダメだと思ったことを素直に言えたんですよね。

普段から良いところを発見してほめている私からの指摘は、相手の心にもしっかりと届きます。叱ったことで、同期や上司との関係性も崩れることはありませんでした。

「ほメガネ」を普段からかけていれば、相手を正しく叱ることもできるようになると考えられますね。

後編では、「ほメガネ」をかけたうえで、それでも発生する若者の深い悩みについてのアドバイスをお聞きしました。

インタビュイープロフィール

原邦雄

一般財団法人ほめ育財団 代表理事

1973年、兵庫県芦屋市生まれ。2児の父。

脳科学と心理学をミックスさせた日本発の教育メソッド「ほめ育」を開発し、600社以上の企業や、幼児教育をはじめとした教育機関にも導入されている。

重い病気と戦っているカンボジアの子どもと接し、「1度もほめられずに命が終わる子どもがいる」現実を知り、世界中にほめる大切さを広めることを決意。世界18カ国、のべ100万人に「ほめ育」を伝えているという。

「魔法のメガネ」をきっかけに、村人に感謝の心が連鎖していく、幸せがテーマの大人気児童書『ほメガネの村』が、現代版ミュージカルとして公演予定。

現代版ミュージカル 舞台『ほメガネの村』