成約のスキルがない状態でいくら人数を集めても、買ってもらえなければ売り上げはゼロであることを、高橋さんは懸念しているわけです。
あなたは1位になるために何をする?「集客力を磨く前に、成約力を磨くことを出発点に認識していきましょう。実際に『問い合わせはあるのに、売り上げゼロ!』というクライアントさんに『成約のコツ』=『本音を引き出す質問の仕方』をお教えしたら、面白いように契約が取れるようになりました」(高橋さん)
筆者が外資系コンサル会社で働いていたときのエピソードです。グローバルアカウントで約1000人のコンサルタントの中で売上1位になったことがあります。ちなみに在籍期間中は全社で10位以下には落ちたことがありませんでした。
しかし、報酬はなかなか上がりませんでした。私は上司に不満を表明します。それがきっかけとなり、顧客を全部はがされる羽目になりました。当然ながら、期初にたてた目標数値が変更になることはありません。では、翌年の年度末にどうなったのでしょうか。
じつは、世界1位の売上を計上していました。日本がヘッドオフィスですから、日本で1位=世界1位です。誰もかなわなかったのです。では、なにか特別なことをしたのでしょうか。それは否、まず単純に営業量が圧倒的で、あわせてクロージング力も磨かれていきました。ここでいう、クロージング力とは、高橋さんの言われる成約力とほぼ同意と考えます。
クロージング力を高めたのが情報でした。コンサルテーションの際に得られる情報を冊子にしてコンサルレポートを作成していました。マーケティング調査を依頼すれば、数百万円かかるようなレポートを無償でもらえるわけです。成約に大きな影響を与えたことは言うまでもありません。食品、医薬、商社、ドラッグストア、流通などラインナップも豊富でした。
営業の本質を理解できる良著当時、FAXDMを多用していました。企画書や報告書の要約をFAXで送り、多くの反応を得ていたのです。多い時には送信に対して10%以上のレスがありました。SNSがない時代では、地道な努力も必要でした。
最近、とかく「ラクして~できる系」の本が増えましたが、まったく評価できません。仕事って、そんな楽ではないし、効率のいい方法なども決して多くはないと考えています。
本書は実践的なヒントを導き出したい人にとって役立つと思われます。傾聴力が磨かれれば成約力をアップさせる武器になることは間違いないと思われます。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
■
2年振りに22冊目の本を出版しました。
「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)