■捜査が遅れた裏には複雑な社会的背景

 この事件はMirror紙の18カ月にも及ぶ調査で明らかになった。そしてMirror紙は下記の様な驚くべき事実をあぶり出した。

 彼らギャングが少女たちに使う「グルーミング」と呼ばれるテクニックは次の通りだ。まずゲームセンターやファストフード店、公園などで少女たちと親しくなり、携帯電話の番号を手に入れる。その後、家まで高級車で迎えに来たり、携帯電話を買い与えたり、酒を飲ませたりして親しくなる。

 最終的には性的暴行に及び、売春を強要した。また別の少女が暴行されるところを見せて、心理的に怯えさせたり、家を突き止めて家族を殺すと脅すなど、少女を心理的に操っていた。何人かの住民がギャングの行為を報告しても、警察や行政当局は取り合わなかったと言う。

 そして、ソーシャル ワーカーは1990年代から少女たちに対する虐待を知っており、警察に働きかけていたが、当局が捜査を始めるのに10年もかかっていた。評議会議員らも少女たちが人身売買されているのを知っていたが、少女たちを被害者でなく「売春婦」として捉えていた。

イギリス史上最悪の児童虐待・人身売買事件「テルフォード事件」の鬼畜すぎる全貌! 1000人以上の少女が被害に……
(画像=「Mirror」の記事より,『TOCANA』より 引用)

 この事件の起因には複雑な社会的背景が絡んでいる。そこにはパキスタン系移民グループの英国での疎外感、イスラム系移民とイギリス人の社会的意識のずれ、そして移民男性が支配層の中の弱者を暴行することで復讐を果たす社会的病理等が指摘されている。

 また加害者グループが「イスラム系パキスタン人」のため、当局は「人種差別」「イスラム教嫌悪」と抗議されることを恐れていたともいわれる。そして、この問題が公になれば人種差別をあおり、反移民など過激な政治勢力が台頭すると警察や地方議員が懸念を示していたともいう。

 10代前半で売春を強要され、麻薬中毒にされたり、殺されていった少女たち。生存している少女たちにしても、心の傷が癒えることは決してないだろう。なぜこのような虐待事件が先進国・英国で次々と起こるのか。このような凶悪犯罪を隠ぺいする動きに怒りを感じずにはいられない。この深い闇が晴れる日が来ることを切に祈りつつ、捜査の行方を注視したい。

参考:「Daily Mail」、「Mirror」ほか

※当記事は2018年の記事を再掲しています。

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提供元・TOCANA

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