「説明責任は免れない」との声も

 小学館の仕事をしたことがあるメディア関係者はいう。

「今はどうかはわかりませんが、小学館のある雑誌の編集部では正社員である編集者たちの島(=座席)と、委託契約などの記者たちの島が完全に分けられており、明確な上下関係が存在していた。編集部全体での飲み会も編集者と記者のテーブルがきっちり分かれていた。また、記者が編集者の承諾を得た上で取材して記事を書いたものの諸事情で掲載が見合わせとなり、その分の原稿料を支払ってくれないということもあった。

 大手出版社では大なり小なりそうした傾向があるものの、特に小学館には『社員が上、外部の書き手は下』という意識というか社風が色濃いと感じる」

 また、別のメディア関係者はいう。

「小学館のある雑誌での話だが、本来、委託契約なら契約書で決められた範囲の仕事をこなせば、ほかにどんな仕事をやろうと自由なはずだが、他社の媒体の仕事をしてはいけないという暗黙のルールが存在した」

 では、小学館はこのまま経緯の説明や調査を行わないのだろうか。テレビ局関係者はいう。

「ここまで漫画家をはじめとする作家など作り手側から批判の声があがり、加えて社内の現場社員からの反発も広がれば、メディア企業である同社が詳細な説明も調査もしないで幕引きをするというのは現実問題として難しい。小学館は芦原さんの代理人として日テレより芦原さんと近い関係にあったので、より真相を知る立場にいた当事者ともいえ、説明責任は免れない。ただ、小学館としては日テレとの関係という都合もあるし、過去および現在進行形の小学館の作品を原作とする映像化案件すべてに影響をおよぼすため、身動きが取れなくなっているのでは。当然ながら社内では担当者、担当部署への聞き取り調査を行っているだろうから、それを踏まえて対外的にどういう対応を行っていくのかという問題だろう」

 また、日テレ関係者はいう。

「日テレとしては、小学館とのやりとりを通じて最終的には原作者の承諾を得た脚本に基づいてドラマを制作しており、契約違反はないというスタンス。小学館と原作者の間でどのようなやりとりがなされていたのかは知り得ない立場なので、第三者委員会などを入れての正式な調査とその結果公表などをする動きは現時点ではない。社内では担当者などへのヒヤリングは行っているだろうが、小学館との関係も大事であり、一方的にウチの事情だけで動けないという面はある」