「モームリ」に集まる退職理由は1万5,000件以上
―――「セルフ退職ムリサポ!」のほかに、新しいサービス展開の予定はありますか。
谷本さん:実はすでに始めようと進めているものがあります。「モームリ」では、大量の退職理由がストックされていて、今、1万5,000件以上あるんです。
今後はそのデータを元に、企業向けには、離職率低下のためのコンサルティングや、ノウハウを伝えるサービスを展開しようと思っています。
労働者向けには、企業の退職者に関するデータを開示し、コンサルティングを行うサービスをやろうとしています。例えば、内定をもらった5社のうち、退職者が多い会社はありますか、という相談に対し、弊社が持っている退職者のデータを開示し、こういう退職理由があったので、この会社はこういうところが弱いですよ、とお伝えするようなコンサルです。
私たちは企業側の気持ちもわかるし、労働者の気持ちもわかる、中立な立ち位置なので、今後はそのポジションをもっと活用したいと思っています。
―――「モームリ」に集まる各会社のリアルな退職理由を知りたい人はかなり多そうですね。社員や元社員が会社の口コミを書けるサイトはありますが、それよりも客観性が高いと感じました。
谷本さん:退職代行サービスでお金を払ってまで退職を選んだ人のデータばかりなので、嘘偽りはないですし、それを私たちが第三者的立場で伝えることで信憑性もあると思っています。
良い会社の選び方のコツはネット検索
―――良い会社、退職しなくてもいい会社を選ぶコツがあれば教えていただきたいです。
谷本さん:基本的には、人事担当者など会社が公に言っていることは信用しないことです。良いことしか言わないので。
でも、労働者もそうなんですよ。面接では良いことしか言わないので、お互い様なんです。
私たちがよくやっているのは、会社のウェブページや、Googleマップなどのお客さんの口コミを見ることです。
きちんとしてる会社はしっかりと作り込んだページを作っています。
Googleマップの口コミを見て「愛想の悪い店員さんがいっぱいいます」「院長先生が怒鳴っています」などと書かれている場合は、職場の雰囲気が悪いことがほとんどです。お客さんへの対応と、社内での対応はイコールなことが多いです。
ネットにはヒントになる情報があふれているので、まずはその会社のことを検索してみてほしいです。
それでも、実際に入社してみないとわからないことは多いです。
入社後に想像と違っていたという場合、これが数年後に自分にとってためになるのか、プラスになるのかを考えてみて、辞めるなら辞めてもいいと思いますが、ある程度どこでも同じような業態であれば、がんばって残ってみるのも大事だと思います。
例えば、業種で言うと建築系や美容系、医療系などは業種的に、労務環境で悩まれている方が多い傾向があります。業種的な風潮があることに関しては、どの会社に行ってもほぼ同じなので、どうしても無理というなら業種を変える必要がありますね。
―――最後に、若手ビジネスパーソンへのメッセージをお願いします。
谷本さん:理想は、1つの会社で長く続けられることに越したことはないですし、私たちもそうなるべきだとは思うのですが、現状だと労務関係など良くない会社もあるので、それで心身を壊してしまうくらいなら、退職代行という最後の砦があるというのを覚えておいてください。
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