いたずら盛りの子供の頃、「表に立ってなさい」と良く母に叱られた。30分と経たないうちに、「ごめんなさい、もうしません」と玄関を開けて家に入ったものだった。もちろん学校でもしばしば廊下に立たされた。再発防止にどれだけ役に立ったか判らないが、ともかくそうして罪を償わされた。

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本稿では、飲酒と喫煙が発覚してパリ五輪代表を辞退した女子体操選手への罪の償わせ方について思うところを述べてみたい。というのも、その出来事があって、罪に対する罰の与え方・償わせ方について考えさせられた二つの出来事を思い出したからだ。先ずはその一つ目・・・

今年6月7日、障害者向けグループホーム(GH)の大手運営会社「恵」がサービス報酬を自治体に不正請求するなどした問題で、川崎市が市内の1施設を6ヵ月の事業所指定停止にした。26日には愛知県と名古屋市が障害者総合支援法(支援法)に基づき、「恵」の県内5ヵ所の事業者指定を取り消した。

厚労省も支援法に基づいて「恵」に連座制を適用、同社が全国12都県で運営する他の99ヵ所のGHが順次運営できなくなることとなった。支援法には、不正行為に組織性がある場合、同一法人が経営する他の施設について、6年毎に行われる指定の更新を5年間認めない連座制の規定があるからだ。

「恵」の犯した不正とは、食材費の実費のみを受領できる厚生労働省令を悪用し、18年以降利用者一人当たり月25000円の食材費を受け取りながら各施設には同8000円しか支給せず、約3億円を過大に徴収していたというもの。月に朝昼晩90食とすれば1食90円に満たないことになり、悪質極まる。