また、質問の「質」の変化も見られた。通常、小学校低学年は「わかりません」と教師のアテンションを取る目的で質問をする。もう少しレベルアップすると「ここがわかりません」と不明箇所を具体的に言うようになる。今回は、「この敵の動きが遅すぎて簡単なので、もう少し早くするにはどうしたらいいですか?」と聞いているのを見て驚いた。

自分で仮説を持ち、それを質問で伝えることで教師からのフィードバックも自分が求めるものを得られる。それを肌感覚で感じ取ったのだろうと思えた。これは仕事をする上でも重要なことだ。「わかりません」と雑に投げても自分の希望する場所とは見当違いの回答が返ってくる。だが、具体的に自分の望む仮説を添えることで、その回答も自分の求めるものが得られるので質問者側にもメリットが大きい。

創作は人を賢くする

プログラミングに限らず、創作活動は人を賢くする。ここでいう「賢い」とは固定値である計算能力や頭の回転速度などを指していない。そうではなく、必要に応じて能力を活用するのが上手いという意味合いだ。

文章は読むより書くことで熟練する。音楽も聴くより演奏する方が伸びる。野球も見るよりプレーする方が上達する。プログラミングも同じである。他人が作成したアプリをただ使う側になるのではなく、自分で作る側にまわることでコンピューターの仕組みやキーボード操作などありとあらゆる能力を鍛えることができるだろう。

これまで自分は子供にIT教育をする上で課題を感じていた。タッチタイピングやネット検索、クラウドのオフィスソフトは使えるように教育をしたのだが、その先の世界へいけなかった。技術を教えることはできても、「技術の必要性」を実感させることに苦労していた。

だが、プログラミングはそれを解決してくれる。「こんなゲームを作ってみたい」とか「社会の問題を良くするにはこんなプログラミングがいいんじゃないか?」といった課題を本人が自分で作るようになる。大人に比べて吸収力が高い子どもが主体性を持つことができれば、その学習の爆発力は期待していいだろう。

プログラミング終了後、帰りの車移動や夕食、寝る直前までずっと「あれはこうしたらいいんじゃないか」と構想の話をしてきた。よほど面白かったのだろう。こんなハマり方をしたことは今まで一度も見たことがなかった。

今後、ITスキルの重要性はますます高くなる。AIを使うこなすスキルも確実に求められる。子供の内からITに触れておく重要性は理解しながら、ITでやる「ネタ」に困る親は、プログラミングを習わせるのは非常に有効な手段ではないだろうか。自分も今から子供と一緒にイチから勉強しようと思っている。

 

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