今般の取組は、新たに開発を広げるというより、そんな既存開発エリアにハイクラスホテルを呼び込み、「エリア全体を上質化して再生を目論む」というポジティブな意図があります。

(2)そもそも、野放図な開発を制限するために国立公園にしてるんだろう!?

国立公園は、自然や景観の保護だけでなく「その利用の増進を図ることにより、国民の保健、休養及び教化に資する」ことも役割の1つです(自然公園法1条)。中には「特別保護地区」として、落ち葉1枚も持ち帰れないほど厳しい開発制限が敷かれている場所もありますが、届出すれば開発可能な「普通地域」というエリアもあります。

 

国立公園のうち国有地は約6割。残りは公有地と私有地で、公園内でも日常生活や産業が普通に営まれてますし、そこには公園利用者が減ると生活が成り立たなくなる人がいます。公園内施設の維持管理にもお金はかかりますから、保護と振興利用はセットで考えなくてはいけません。

(3)国立公園内にホテルを建てるなどけしからん!!

既に多数のホテルが国立公園内に存在し、営業してますよ。国立公園内でホテル建てたらダメというなら、箱根のホテルなんて全部ダメになるんですけど。

 

そもそもあなた、この報道が出るまで、国立公園内にどんな施設があるかなんて気にしたことなかったでしょ?

(4)今さらインバウンドが増えても迷惑! 観光公害を増やすな!!

インバウンドは東京、大阪、京都の「3大都市圏だけで7割超」と偏在していることもあり、地方部への誘客が求められています。

観光業は「生産波及効果19兆円・雇用誘発効果156万人」と試算され、現地にお金が落ちればホテル業から波及して飲食、小売、サービス、運輸、農水、不動産、金融業まで広範に潤う産業。インバウンド効果が地方でも実感できる仕組みが求められているのです。

我が国の国立公園には素晴らしい自然の魅力がありながら、世界の富裕層を惹きつけるだけのハイクラスホテルと観光パッケージが足りておらず、実に惜しい状態でした。

今般の取組により、自然を活かした形でアクテビティを充実させ、各地域観光資源を磨き上げていくことができれば、国立公園がグローバルに誇れる素晴らしい観光コンテンツになることでしょう。

ぜひ自然環境にも、それぞれの土地の人の暮らしにも配慮しつつ進めていって頂きたいところです。

 

(編集部より)この記事は、新田 龍@nittaryoのポストを、許可をいただいた上で転載いたしました。