100年前の名医がサジを投げた伝説の奇病に挑む

今回の研究により芽殖孤虫のゲノムが明らかになりました。

現在、芽殖孤虫の感染に対しては有効な治療薬が存在せず、外科的な摘出手術のみが確実な治療法となっています。

しかしゲノムが解析されたことにより、標的とすべき芽殖孤虫の弱点も明らかになり、新薬開発につながると期待されます

またゲノム解析は、芽殖孤虫がどのような過程をへて誕生したかという、進化的疑問を解決する第一歩になります。

伝説の奇病、芽殖孤虫の不思議が解き明かされる日は近いのかもしれません。

※この記事は2021年6月公開のものを再掲載したものです。

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参考文献

謎の寄生虫「芽殖孤虫」のゲノムを解読 -謎に包まれた致死性の寄生虫症「芽殖孤虫症」の病原機構に迫る-
http://www.miyazaki-u.ac.jp/public-relations/20210531_01_press.pdf

元論文

Genome of the fatal tapeworm Sparganum proliferum uncovers mechanisms for cryptic life cycle and aberrant larval proliferation
https://www.nature.com/articles/s42003-021-02160-8

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

やまがしゅんいち: 高等学校での理科教員を経て、現職に就く。ナゾロジーにて「身近な科学」をテーマにディレクションを行っています。アニメ・ゲームなどのインドア系と、登山・サイクリングなどのアウトドア系の趣味を両方嗜むお天気屋。乗り物やワクワクするガジェットも大好き。専門は化学。将来の夢はマッドサイエンティスト……?