全体を通しての輝くような笑顔、かわいらしい演技、楽しみながら全力で踊っているのがよくわかる雰囲気、そしてアリュール。

オペラ座バレエにいてくれて、ただただありがたい。今の男性エトワールたち、開店休業だったりもっとできるはずなのに全力尽くしてなかったり雰囲気なかったりと、満足できる舞台をなかなか見せてくれないなか、この手の作品のギヨームは、とても貴重。2年前のバジルデビュー時、当日降板で観られなかったので、ほんとよかった、今日、彼のバジルを体験できて(レオノールとパブロが降りたので、チケット売ろうかと思ってた)。

キトリでエトワールになったヴァランティヌ。前シリーズ同様、大味ではあるけれどお上手。この役なら、悪くない。多少流してるところはあるけれど余裕で安定感あるし、演技こなれてて、3幕のエキリブルはラストの前からかなりバランス保ってるし、ラストのつま先時間の長さと脚の高さ、見事。

ただ、今まで観てきて感動をくれたキトリたち、アニエス、マリ=アニエス、レティシア、オレリー、ミリアム、ドロテ、リュドミラの、圧巻の技術や表現力、美しいラインや演技力が忘れられないので、比べちゃうとどうもこうも・・。

25年前は、毎夜どの配役でも、ドゥミソリストまで含めて3〜4人は見応えたっぷりだったキショット(なんならコールのエルヴェやヤン、マチュー、ドロテ、ミリアム、アレッシオらまで最高だった)。今夜心から満足できたのはギヨームだけだし、この間は一人も満足させてくれなかたったし、前回シーズンも今ひとつ。作品自体の出来がよいのでとても楽しくはあるのだけれど、昔感じた、心躍りワクワクが止まらないような舞台は、もう2度と観られないのかな。

なにはともあれ、ギヨームに心から拍手と感謝(辞めないでね)。

彼女たちの思い出を大切にしよう❤️

*1回目ハナ&ジェルマンの感想はこちら

編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々5」2024年4月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々5」をご覧ください。