トゥレン・デ・アラグアの誕生した背景
トゥレン・デ・アラグアが誕生したのは犯罪国家ベネズエラの北部に位置するアラグア州にあるトコロン刑務所内である。記録によると、2013年に同刑務所内で誕生したという。彼らは刑務所での支配者となり、所長や刑務官も彼らによる犯罪行為を恐れて傍観していたというのが現状であった。
もともと、アラグア州には鉄道の労働組合が存在し、彼らが施工業者を恐喝したり、作業に使う部品などを盗んで売却していた。犯罪を犯した同メンバーが収監されて、彼らが刑務所内で組織化したのが「アラグアの列車」という呼び名の犯罪組織となったのである。
ところが、昨年9月に入って1万1000人で編成された警察と軍隊が同刑務所を包囲して、この犯罪組織を一掃した。一掃される前に幹部らは脱出して今ではベネズエラ国内でも11の自治州で彼らが犯罪網を築いている。
この組織が急激に外国でも広がったのは、ベネズエラという国家の経済的な崩壊で、現在までおよそ800万人が国外に脱出している。それに紛れ込んで、彼らも国を去り、移民者に少量の麻薬を運ばせたり、売春行為をさせたりして彼らは勢力を拡大させて行ったのである。
現在までこの組織にはベネズエラ国内及び外国に5000人のメンバーがいると推測されている。これまで主要な犯罪活動はコロンビア、エクアドル、ボリビア、チリ、ブラジル、コスタリカ、パナマといった国々で、それぞれ地元の犯罪組織とも協力して犯罪網を拡大している。そして遂に、米国でも彼らの存在が確認されたというわけである。
米国が抱えている不法移民者の問題には単に不法移民の取り締まりという以外に、それに紛れて犯罪者が米国に侵入しているということも米国にとって深刻な問題となっている。しかも、この面でメキシコのポピュリズムで左派系のロペス・オブラドール大統領がそれに十分に協力しないという問題も抱えている。10月から女性大統領が誕生するが、彼女の対米国との不法移民対策についてこれから明確にされていくことになる。