変速機を省ける効果も
EV車の利点の一つを挙げれば、「トランスミッション(変速機)を省ける」という点が挙げられる。ガソリンエンジントラクターやディーゼルエンジントラクターには、変速機が搭載されている。EVトラクターはそうしたものを必要としないケースが多く、その操作はいわゆる「オートマ車」とほぼ同様のものになる。
また、ギアボックスに関連するメンテナンス費用を削減できる効果も期待できる。
大型トラクターのEV化
現在、大手農機メーカーはEVトラクターの開発・市場投入に着手し始めている。
しかし、その多くは数十馬力程度の中小型車両である。小規模の農場では活躍できるだろうが、地平線を見渡せるフランスの平野に投入するとなると、やはり荷が重い。
日本で100馬力以上のトラクターを見かける機会は、特に都市部ではそう頻繁にはないかもしれない。しかし、日本より平野に恵まれているヨーロッパではそのあたりの事情も異なる。現に、ヨーロッパで販売されているトラクターの半分以上が100~200馬力クラスの車両のようだ(参考:Farmers Weekly)。そうしたなかで160馬力の大型EVトラクターのプロトタイプが問題なく稼働できると実証された場合、Seederalは数多くの大手農機メーカーと肩を並べるようになるかもしれない。
(文・澤田 真一)