患者への適切な臨床試験のマッチングを支援するサービス「Prism」

OncoLLMを使用して、患者に適切な臨床試験をマッチングするサービスが「Prism」だ。すでにその高速さと正確さは、ウィスコンシン医科大学との共同研究で証明されている。資格のある看護師でも数日から数週間かかると思われる患者への臨床試験の割り当てを、わずか数分かつ95%の精度で終えることができたのだ。

さらに、誤った出力でないかのチェックには、根拠となるカルテが引用付きで提示される。なおPrismはあくまでマッチング業務のサポートであり、医師がPrismの出力結果を元に確認をする。

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――Prismの特筆すべき強みは何でしょうか?
Daniel: 臨床試験への患者登録を、受動的なものから能動的なものへと変えていくことと私たちは望んでいます。従来の反応的な方法では、患者の情報がシステムに事前入力されていても、臨床試験は手動でマッチングされ、患者の来院後まですべての要素が揃わない可能性がありました。そのため、適切なマッチングに大きな時間が取られていました。しかしPrismなら、たとえばその週に来院する患者に先立って、候補となる試験を提案できます。もし来院前に予測ができれば、その後の来院をより効率的に進めることができます。がんの治療においては、時間がすべてです。患者の生命を変える可能性のある試験にできるだけ早く参加させるのが可能ならば、それは明らかに最良な選択肢です。

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医療データの登録と分析を支援するサービス「Harmony」

Triomicsが提供するサービスは他にもある。電子カルテのデータの管理や分析をするサービス「Harmony」だ。同サービスを用いれば、がん登録に必要なデータの抽出時間を80%短縮し、報告対象のがんの特定にかかる作業量を60%削減すると同社は推測している。

――Harmonyは、どういったサービスでしょうか?
Daniel: Harmonyは医療の質の向上を目指す、データ管理・分析サービスです。アメリカの病院では、患者の治療改善などの目的で、がんの種類、ステージ、症状などのデータを登録して政府機関に報告しています。このとき、元となる医療データは常に整理されているわけではなくフリーテキストの場合もあります。Harmonyは、OncoLLMの能力を用いて非構造的な患者記録の情報を抽出する効率を向上させ、それをより使いやすい形式に組み込むことができます。

――取り込んだデータを医療に役立てることもできますか?
Daniel: はい。医療機関の運用や医療の質の向上にも活用できます。たとえば、どの治療法が効果的で費用も適切か、あるいは医師や設備をどう配置すれば最適か、などの分析ができます。また、保険会社の事前承認プロセスにも活用できる可能性があります。ただし重要な決定に対して、人間に取って代わることはありません。Harmonyはあくまで関連するデータを集約するサービスです。

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