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かつての軽自動車販売No.1、ワゴンR最大の強敵
5ドアとアメリカンな「カスタム」による新境地で挑んだ初代
かつての軽自動車販売No.1、ワゴンR最大の強敵
MOBY編集部がAIに聞いてみた、「30〜50代のクルマ好きが気になる名車」、今回はちょっと珍しいチョイスかもしれませんが、ダイハツのムーヴ/ムーヴカスタムです。
軽トールワゴンの傑作、スズキ ワゴンRの最有力フォロワーとして常に軽自動車販売トップの座をうかがい、時には先行され、時にはワゴンRより優れた面もあった最大のライバルでした。
2011年のホンダ N-BOX発売以降は軽スーパーハイトワゴンが全盛期、軽自動車ブームを牽引していくと存在は地味になったものの、手頃な価格と背が高すぎないサイズ感によって、軽トールワゴンが「軽自動車のベーシック」になっていった今でも重要な車種です。
ムーヴラテ、ムーヴコンテ、ムーヴキャンバスといった人気の派生車種も生んだ、歴代ムーヴ/ムーヴキャンバスを振り返ります。
5ドアとアメリカンな「カスタム」による新境地で挑んだ初代
1993年に登場するや、軽自動車のみならず全ての日本車に大きな影響を与え、背の高いハッチバック車「トールワゴン」というジャンルを一気に売れ筋ジャンルへと成長させたスズキ ワゴンR。
随所にスペース効率を最大限活用する工夫を凝らし、ただ背が高いだけではなくさまざまな付加価値を与えた同車は革命的な傑作車だったものの、基本コンセプト自体は1970年代の市販車(ホンダ ライフステップワゴン)から存在し、そう目新しいものではありません。
しかしそれだけに、明確な対抗馬となるワゴンRフォロワーをすぐに開発・市販するのは容易ではなく、先行していたミニカトッポ(初代1990年)のように、一歩間違えればかえって古臭い、用途の限定されるクルマになってしまう可能性すらありました。
1995年にダイハツが発売した初代「ムーヴ」は、そういう意味で真のワゴンRフォロワー第1弾というべきクルマで、最大の特徴はミニトッポやワゴンRになかった「右側後席ドア」。
つまり当時のFFベース軽トールワゴンは後席ドアを持たない3ドア、あるいは右側後席ドアのない3+1の変速4ドア車だったのが、初代ムーヴは初の「5ドアトールワゴン」であり、リアシートスライド機構と合わせ、実用性の面で大きく差別化していました。
さらに1997年にはメッキのビレットグリルに大型の角目ヘッドライトを装備した、アメリカン・フロントマスクの「ムーヴカスタム」を発売、シボレー アストロや日産 エルグランドなどによるアメリカンミニバン人気に便乗して人気を得ます。
特に通常のムーヴに対し「裏ムーヴ」と称したムーヴカスタムは、その後の国産車で多くが採用した、「通常デザインとカスタムデザインの2本立て」において、初のヒットとなる元祖的存在だったと言えるでしょう。