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昨年の地球の平均気温は、観測史上最高だった。これについて「その原因は気候変動だ」という話がマスコミには多い。

これはホッケースティック曲線と呼ばれ、最近の気温上昇が異常に急速なことを示す。IPCCの第6次評価報告書にも登場した。これが本当だとすると、今は過去2万年間なかった急速な温暖化が進行中だということになるが、本当だろうか。

ヒートアイランド現象が混入している

ホッケースティック曲線の元の年輪データはノイズが多く、このデータはそこから極端なデータを選んだ疑いがある。北半球の気温が高いことは事実だが、これは都市の建物や道路の照り返しなどによるヒートアイランド現象(UHI)を含む(図1)。

図1 ヒートアイランド現象(気象庁)

都市部の観測点の気温はUHIの影響を受けているが、平均気温を算出するとき「均質化補正」されているので集計データには影響がないというのがIPCCの見解だ。

しかし気温は都市部の観測点と、農村などUHIの影響のない観測点を平均して補正するので、都市の多い国では平均気温が高く出る傾向が強い。図2のように気象衛星による北半球(NH)の7月の気温は南半球(SH)の1月より5℃ぐらい高い。

図2 1961~1990年の北半球と南半球の年間気温(GMST)

温暖化が北半球に片寄って起こることはありえないので、これは都市化の影響(UHI)が気象衛星の観測データに現れていることを示す。逆にいうと南半球の気温が本当の平均気温に近いので、温暖化は地球全体の平均(GLO)よりかなり小さい可能性がある。