消えたテオニマヌ島に関する伝説

 テオニマヌの消失に関する多くの物語の中には、この島の女性であるサウウェテアウという人物から始まるものがある。

 この地元の美女は、近くのアリアイト島に住む男、ロライメヌと結婚していた。

 ある日、サウウェテアウは、カリイタアルという別の男と恋に落ち、彼と共にテオニマヌに戻った。彼女に裏切られ怒りに満ちたロライメヌは、復讐の手段として島に波の呪いをかけた。結果、島には8回にもおよぶ破壊的な津波が押し寄せたのだ。生き延びた者は、ソロモン諸島の様々な島々に散っていったが、多くの人々がこの呪いの津波によりで命を落とした。

太平洋に消えた島「テオニマヌ」には何が起きたのか ― 語り継がれる伝承や神話が意味するもの
(画像=Created with DALL·E,『TOCANA』より 引用)

 もちろん、この物語を取り巻く情報はすべて誇張されており、空想的である。しかし、情報を伝える上で素晴らしい手段であるのかもしれない。

 太平洋の別の地域にも、テオニマヌと同じような運命を辿った島に関する伝承が残っている。これらの伝承は、歴史から失われてしまった世界への洞察を提供してくれる。地球温暖化が進み海面が上昇し続ける中、先住民の伝承による知識はますます多くの人々にとって重要になっている。しかし、そのような知識もやがて失われてしまうのかもしれない。

 ナン教授はBBCに対し、「私は世界中で口頭で伝えられてきた知識が文字化によって失われつつあると考えています。しかし、この知識こそが将来の世代が海面上昇に対処するのに役立つ先住民の知恵なのです」と語っている。

 科学者たちは、先住民の知識が文化的な興味だけでなく、もっと重要なものであることを今や認識しているが、その気づきが遅すぎないことを祈るばかりである。

(文:青山蒼)

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提供元・TOCANA

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