■どの説にしても整合性に欠け説得力に乏しい

 失踪事件の翌年の時点でも解決のヒントすら得られず、自殺説と追い剥ぎによる殺人事件説の2つが有力なシナリオとなった。

 両親を含めペンダーグラストをよく知る者ほど、彼が自殺するとは考えられないと語り、一方で偶然出くわした追い剥ぎや暴漢であるとすれば、どうして財布を奪っていないのか、せめて紙幣は抜き取るのではないかという疑問も払拭できない。

 用意周到に練られた計画的な殺人事件や誘拐事件である可能性もあるが、ペンダーグラストの友人知人は彼が何か違法な取引に関わっていたり、敵対する誰かがいるという様子はまったくなかったと証言している。

 当局はヒッチハイカーがカージャックしたのではないかと考え、ペンダーグラストの車に乗り込んだヒッチハイカーがどこかの時点で彼を殺し、死体を沼に捨てたというシナリオを想定した。しかし動機が怨恨や復讐といった私怨以外であれば、犯人を利するものは何もない殺人事件になってしまう。

 地元で有名な精神科医であるキャロル・ペイト氏は、彼が日誌に書いたものに従ってある種のファンタジーを実行しようとしていて、何かがうまくいかなかった結果ではないかと指摘している。実際に彼女はこの事件についてロノーク郡の捜査当局に協力した。

 ペイト氏はペンダーグラストが幻想の中で「シルバーエルフ」として生まれ変わることを望んでいたのではないかと説明している。

【未解決】男子大学生が突然消えた「ペンダーグラスト失踪事件」が謎すぎる! 畳まれた衣服、不死日記…
(画像=イメージ画像 Created with DALL·E,『TOCANA』より 引用)

「彼は自分の魂のために戦い、悪魔と戦って負けたのです」(キャロル・ペイト氏)

 いずれにせよ、どの説にしても整合性に欠け、物証が少なすぎるために説得力に乏しい。残された衣服と持ち物は確かに奇妙な物証だが、不可解すぎてどの仮説にも当てはまらないように思える。

 車を発見したハンターがペンダーグラストを誤って散弾銃で撃って殺してしまい、その遺体を処分したのではないかという説も浮上したが、服には銃撃の痕跡は残されていない。ペンダーグラストが服を脱いで沼に足を踏み入れて自殺しようとしていたところを誤って銃撃したことも考えられるが、母親によればペンダーグラストは整理整頓ができない子で、脱いだ服を自分でたたんだところなど見たこともないということだ。

 そして何よりもペンダーグラストがなぜこの場所に来たのかという大きな謎がまったく手つかずのまま残っている。

 はたして自殺なのか、殺人事件なのか、あるいは過失致死隠蔽事件なのか、雲をつかむような未解決事件として関係者を途方に暮れさせているのがこの「マシュー・ペンダーグラスト失踪事件」である。

参考:「Mysterious Universe」、ほか

※当記事は2020年の記事を再編集して掲載しています。

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提供元・TOCANA

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