ハッピーエンドではなかった?
しかし、これだけの偉業を成し遂げたフェリセットの物語は、ハッピーエンドとは言い難いものでした。
彼女は無事に地球に帰還したものの、その3カ月後に脳の解剖調査を行うために安楽死させられたのです。
加えて、ライカ犬やチンパンジーのハムは宇宙開発史の中で英雄扱いされていますが、フェリセットは50年以上もの間、人々から忘れ去られた状態にありました。
世間的には米ソの宇宙開発競争ばかりにスポットが当てられていたため、フェリセットの功績は正当に評価されなかったのです。
こうして、かつて宇宙に飛び立ったネコがいたことを知る人はほとんどいなくなりました。
しかし2017年に、フェリセットに正当な評価を与え、その偉大な功績を称えようとする運動が一部で起こりました。
その運動を始めたのは、米ニューヨークの広告代理店Anomalyに務めるマシュー・サージ・ガイ(Matthew Serge Guy)氏です。
彼は以前からフェリセットのファンであり、彼女への不当な状況を是正したいと考えていました。
そこで彼はフェリセットを記念する銅像を建てるためにクラウドファンディングを開始。
そして1000人を超える支援者の出資で、目標金額である4万ポンドを達成し、2019年4月にフェリセットの銅像が建てられました。
彼女の像は現在、仏ストラスブールにある国際宇宙大学(ISU)に設置されています。
(銅像の写真はこちらから)
こうしてフェリセットの歴史的偉業は徐々に人々に認知され始めているようです。
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参考文献
Remembering Félicette: The first cat in space
https://www.zmescience.com/feature-post/natural-sciences/animals/pets/meet-felicette-the-first-cat-in-space/
ライター
大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。
編集者
ナゾロジー 編集部