セミナーや講座の主宰者として、できるだけ多くのことを伝えたい。そう考える人も多いだろう。しかし実は、多くのことを伝えるのが必ずしも受講者にとって良いこととは限らない。
そう語るのは現役会社員・副業講師の滝川徹氏。今回は、滝川氏の著書『ちょっとしたスキルがお金に変わる「副業講師」で月10万円無理なく稼ぐ方法』より、受講者に「伝わる」話し方について、再構成してお届けします。
一つのスライドに情報を詰め込みすぎない私はスライドはあまり作成しませんが、それでもオンラインセミナーの際は簡単なものを用意することがあります。スライドを作る場合、注意すべきなのは「一つのスライドに多くの情報を盛り込みすぎない」ということです。
たとえば社内外でセミナーや勉強会を受けていると、以下の図のように、たくさんの文字が書かれているスライドをよく見かけます。
普段こうしたスライドを見慣れていると、違和感を感じないかもしれません。しかしここで、話を聞きながらスライドを見る立場になって、一度冷静に考えてみましょう。
このスライドは本当に受講者のことを考えて作られているでしょうか? 少なくとも私は、説明を受ける時にこのようにたくさんの文字がびっしり書かれたスライドを見ると、「これを読めというのか?」と感じて、一気に聞く気はなくなってしまいます。
人が注意を向けられるリソース・集中力は限られています。こうしたスライドを読んでいると、必然的に講師の話に意識を向けることもむずかしくなります。講師の話から吸収できることも減ってしまいます。
それでも「スライドを読むことで話の内容を理解できるからいいじゃないか」と思うかもしれません。しかしそれならスライドを事前に配れば済む話です。わざわざセミナーを受ける必要はないわけです。
わざわざ時間を作ってセミナーを受けるのは、講師の話を直接聞くことで、文章を読むだけではわからない細かいニュアンスなども理解したいからです。文章を読めばわかるなら、その他にもブログ記事を読んだり本を読めば済む話です。
文章を読むだけでは理解できない、伝わらない話をわかりやすく受講者に伝える──これがセミナー講師の責務なのです。