■遠敷、めちゃくちゃ重要な土地だった

古代においては若狭国の国府が置かれていたとされ、若狭における中心地であったと考えられる遠敷郡。

若狭歴史博物館の担当者は「中世においては現在の遠敷にあたる地域で定期市も開かれており、賑わっていたと考えられます」「中世以来の港町である小浜湊(現・小浜市)も近く、また、現在の敦賀(現・福井県敦賀市)から宮津(現・京都府宮津市)へ抜ける丹後街道が通っており、そのほか、針畑越(はりはたごえ)と言われる、朽木(現・滋賀県高島市朽木)から京都方面へ抜ける街道もあり、交通の要衝でもありました」とも説明している。

これらの中世以来の街道は、近世以降も鯖街道と呼ばれるいくつかのルートの中に含まれているという。そして、前出の針畑越の道沿いに流れる川は「遠敷川」、一帯の谷は「遠敷谷」と呼ばれているのだ。

「遠敷谷」の由来については「滋賀県側の小入谷も隣接しているため、そこから名付けられている可能性がありますが、断定はしかねます」とも説明している。

こうした「変わった読み方の地名」の特殊性は、地元の人間ほど気付きにくいもの。普段気に留めていなかった地元の地名を調べてみると、新たな発見があるかもしれない。

■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。

(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)

提供元・Sirabee

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