7歳までしか生きられないと宣告された男の子のきわめてレアな症状とは――。それは頭部が2倍に成長してしまう頭蓋骨幹異形成症という奇病だ。

■2億2千万人に1人の難病、頭蓋骨幹異形成症とは?

 1961年12月4日、米カリフォルニアで生まれたロイ・L・デニスは何の問題もない健康優良児であったが、2歳の時にきわめてレアな疾患である頭蓋骨幹異形成症(Craniodiaphyseal Dysplasia、CDD)と診断された。

【奇病】2億2千万人に1人の難病…「頭の大きさが2倍になった少年」の生涯
(画像=画像は「Wikipedia」より,『TOCANA』より 引用)

 この病気は出生2億2千万人に約1人で発生し、記録されている症例は20人に満たないきわめて稀な疾患である。CDDは頭蓋骨を含む骨組織が過剰に蓄積し、徐々に脳が圧迫されて頭蓋内圧亢進を引き起こす骨疾患である。記録された少数の症例に基づいて医師らは、中枢神経系と脳神経に対する骨の蓄積による圧力が彼の視力と聴力を奪い、最終的には脳に影響を及ぼして重度の精神障害に苦しみ、7歳の誕生日を迎える前に死亡するとの予測が家族に伝えられた。

 頭蓋骨の異常な成長によりデニスの顔は著しく歪み、頭の大きさが通常の2倍になった。頭蓋骨への圧力により、両目が頭の端に向かって離れていき、鼻が異常な形に成長し始めたのである。

【奇病】2億2千万人に1人の難病…「頭の大きさが2倍になった少年」の生涯
(画像=画像は「YouTube」より,『TOCANA』より 引用)

 デニスは子供時代より先は生きられないはずの運命にもかかわらず、彼の母親はそのような前提には立っていなかった。彼女はデニスが6歳のときに学校に入学させ、普通の男の子のように育てたのだ。デニスはクラスの人気者となり、たくさんの友人を得たのだった。

 デニスは素晴らしいユーモアのセンスも持っており「もっと普通に見えるように」整形手術を勧められたにもかかわらず、断り続けていた。

 医師らはデニスの知能に障害が及ぶことを予測していたが、彼は学校の勉強に遅れることはなかった。母親のラスティさんに言わせれば、彼らはデニスを教室に入れさせたくなかったのではないかと話す。医師らはデニスを学校に通わせると他の子供たちの親に迷惑がかかると考えたのだという。

【奇病】2億2千万人に1人の難病…「頭の大きさが2倍になった少年」の生涯
(画像=画像は「YouTube」より,『TOCANA』より 引用)