100年以上の歴史をもつオカモトヤは、時代の変化とともに変化し続けています。なかでも女性のQOLを上げてフェムアクションの選択肢を増やすための新規事業「Fellne(フェルネ)」の一環である、オフィス空間づくりが挙げられます。

2024年のオフィス移転のタイミングでできた「セルフメンテナンスルーム」と「アメニティバー」は、従業員がリフレッシュできる快適な職場環境を提供する施設です。

前編では、オカモトヤ代表の鈴木美樹子さんにFellneを立ち上げるまでの話をしていただきました。後編では、最近Fellneが取り組んでいる「オフィス空間づくり」について聞いていきます。

「WORK」と「NON WORK」が融合したオフィス

ー新たなオフィスについて教えてください。

私たちは2024年1月に、本社を虎ノ門ヒルズステーションタワーに移転しました。この移転を機に、私たちの本業であるオフィスづくりの一環として、Fellneのコンセプトをオフィス空間にうまく組み込みたかったのです。

新しいオフィスは「palette(パレット)」と名づけています。paletteは、会社や組織、そして社員・キャリア・年代・性別を超えて多様な人たちが混じり合い、新しいアイデアが生まれる場所という意味が込められています。

ー新しいオフィス「palette」で特に力を入れた部分はありますか。

オフィスの中央にある、オンとオフの切り替えができる「セルフメンテナンスルーム」です。これは「WORK」と「NON WORK」つまり、仕事中とそうでないときの境目をあえて曖昧にすることで、誰がいつこのエリアを利用しているかわからない状態を意図的に作り出しました。

ー現代の働き方は変化していると考えていますか。また、今の働き方が「セルフメンテナンスルーム」とどう交わっていくのでしょうか。

人生100年時代を迎え、人手不足が深刻化する中で、企業は健康で長く働くことを重視するようになりました。たとえば、上司に叱られて泣きたくなることもあるでしょうし、前日の飲みすぎや昼食後の眠気などもあるでしょう。そんなとき、このセルフメンテナンスルームで短時間でも休むことができれば、生産性が向上するかもしれません。

3種類のセルフメンテナンスルーム

ーセルフメンテナンスルームをつくるにあたり、特に気をつけた点はありますか。

Fellneは過去に「オールジェンダートイレ」を企画し、出口と入口を分けることで、誰でも気軽に使えるトイレを提案しました。これと同じように、セルフメンテナンスルームも入り口と出口を分けることで、休むことに対する後ろめたさをなくす工夫をしています。

ー出入りの仕組みについて詳しく教えてください。

取っ手が入口には外側に、出口には内側にのみ付いているため、外からは開けられない設計です。中に人が入っているかを認識するために、人感センサーを導入しています。

このセンサーはブースに人が入ると外側に設置された花のマークが点灯し、利用中であることを示します。そして、出口から人が出ると自動的に電気が消える仕組みになっています。これにより、誰がいつブースを利用したかがわからないようになっており、利用者のプライバシーが保たれるようになりました。

ーセルフメンテナンスルームは3種類展開されています。それぞれの特徴を教えてください。

1つ目の「セミクローズ」と呼ばれるタイプは、入口のドアが約140cmの高さに設置されており、大人が頭をかがめないと入れない低いドアになっています。床は少しクレーター風にへこんでおり、室内の天井は約3mと高めです。

2つ目も「セミクローズ」タイプですが、天井は木のルーバーで外の光やオフィス内の光が取り込めるデザインを採用。床の形状は山を模したマウント型を採用しました。

最後に「フルクローズ」タイプは、上部が完全に閉まっており、防音性が高いのが特徴です。ここは、泣いたり怒ったり喜んだりといった感情を表現できるスペースとなります。床は斜めになっており、机や椅子・時計などは設置しておらず、利用者が自由に使える空間を用意しています。