他種の幼虫に「子供」を産みつける
パンダアリは自らのコロニーを形成せず、チリの暑く乾燥した沿岸地域で単独生活を送っています。
大人たちの食べ物は花の蜜や小さな昆虫です。
メスは交尾を終えて産卵期を迎えると、地中を掘り進めて、他種のハチが作った巣のありかを探します。
そして巣を見つけると、メスは産卵管を他種のハチの幼虫かサナギに刺し込み、卵を産みつけるのです。
その後、ふ化した子供たちは宿主の体を食べながらスクスクと成長していきます。
寄生された側からすると、たまったものではありませんね。
完全に成熟すると巣を飛び出して、大人としてのスタートを切り始めます。
メスの母親は2年間のライフサイクルのうちに、おおよそ2000個の卵を産むといわれています。
またパンダアリは、ふわふわな見た目で一見すると柔らかそうですが、実は毛の下はめちゃくちゃ硬いのです。
全身が強靭な外骨格に覆われていて、その硬さは標本にピンを刺すのに難航するほどだという。
この硬い外骨格は、暑く乾燥したチリの環境において体の水分損失を減らすためだといわれています。
硬い外骨格で覆うことで、体から水分がに出ていくのを防いでいるのです。
それからパンダアリは脚や触覚をすばやくこすり合わせることで、甲高い超音波を出すこともできます。
これは白黒模様と同じように天敵への警戒音の役目を果たしますが、それと同時に交尾のためのシグナル音としても機能していると考えられています。
以上がパンダアリについて知られていることです。
見た目こそパンダみたいに可愛いですが、中身はかなり恐ろしい能力者だったようですね。
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参考文献
Panda ant: The wasps whose black and white females have giant stingers and parasitic babies
https://www.livescience.com/animals/insects/panda-ant-the-wasps-whose-black-and-white-females-have-giant-stingers-and-parasitic-babies
Creature Feature: Panda Ant
https://theethogram.com/2015/06/01/featured-creature-panda-ant/
ライター
大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。
編集者
ナゾロジー 編集部