ただ、田舎に行くと電車に乗る機会は少なくなります。ましてや高松あたりでは本州に行く用事がない限り電車に乗ることはあまりない閉鎖性があります。この従兄夫婦、私の知る限りもう20年以上四国から本州に行っていないはずです。つまり、日本全体で何が起きようが自分の生活圏内が平和であれば無縁な外の話になってしまうのかもしれません。それでも日当たりの良い家で子供や孫に囲まれて幸せに暮らしているのです。

外に出るべきか、今の穏やかな人生を愉しむのか、人それぞれです。それを強要する理由もありません。ただ言えることは日本は海に囲まれたほぼ単一民族の農耕民族である点です。

私は東京生まれ東京育ち、刺激いっぱいの学生時代を過ごし、バブル経済を謳歌し、プライベートジェットに乗って仕事をし、バンクーバーでがむしゃらに働き、挙句の果てに親会社が倒産したので自分の勤めていた会社を個人買収し、起業家の道を歩みました。破天荒かもしれませんが、これが私の運命だったと思うのです。人生いろいろです。

ただ全てが偶然かといえばそんなことはありません。会社で頑張らなければ秘書になんてならなかったし、親会社が潰れたらおとなしく日本に帰国するのが普通でしょう。ただ負けず嫌いの性格がそうさせなかったかもしれないし、海外に長く住んで狩猟民族的でチャレンジャーばかりの世界にいたこともあるし、私の周りは「上を向いて歩こう」の人が多かったこともあります。自分の立ち位置次第で「類は友を呼ぶ」とも言えそうです。

ところで、私が生まれ育った東京ですが、この街には活力があり、自然発生的に様々な似た者同士が集まる素地があります。そして私もそういう人に自然と寄っていきます。東京にいた際に、ある起業家とビジネスの話をしました。私からのアプローチです。それまでに何度かお会いし、その商品を購入し、カナダに輸出し使ってみて売れると判断したのです。

今回はずばり「カナダでの販売代理店」の相談をさせてもらい、良い感じで展開しています。この方も地方からなのですが、東京に起業家ばかりが集まるシェアオフィスを借り、地元と東京を週に数回、行き来しています。ビジネスそのものは既にアーリーアダプターの後期にあり大いなる成長期にあります。

氏曰く「国内から世界に目を向けたいのだけど自分ひとりじゃ…」「では一番力を入れたいのはどちら?」「アメリカです」「ならば社長はアメリカ市場を開拓するために精力を注いだらどうでしょうか?その代わり、その隣のカナダを私にやらせてもらえませんか?」と。

起業家は少しずつ増えています。東京都には「東京イノベーションベース」(略称TIB)という施設も有楽町にあります。渋谷はテック系の起業家には有名ですが、起業はなにもテクノロジーだけではないのです。

東京にはそれぞれの街にそれぞれの特徴があり、それを生かした展開は無限に創造できます。こたつから出てみようかな、と思った人たちがチャレンジする、そんな世界が少しでも広がれば世の中、もっと面白くなると思います。ワクワクさせる社会を築く、これが私の思う国家の活力であり、未来ある日本の向かうところだと信じています。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年7月14日の記事より転載させていただきました。